2010 Fiscal Year Annual Research Report
ケロイド発生に関与するIL-23/IL-17免疫経路の役割解明と新治療の確立
Project/Area Number |
21592298
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
土佐 眞美子 日本医科大学, 医学部, 助教 (30301568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
M GHAZIZADEH 日本医科大学, 老人病研究所, 准教授 (30190979)
村上 正洋 日本医科大学, 医学部, 准教授 (00239500)
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Keywords | ケロイド / 培養細胞 / Th17 / IL-17 / IL-23 |
Research Abstract |
<目的>われわれは、IL-6シグナルがケロイド発生に関与していることを報告してきた。IL-6シグナル亢進状態では、Th17への分化が促進されることがわかっている。今回は、ケロイド患者におけるTh17細胞の分布状況を把握し、さらに、Th17細胞関連サイトカイン(IL-23,IL-17,IL-22)の発現状況を確認する。ケロイドにおいて、Th17細胞関連サイトカインの増加が確認されれば、それらが、細胞増殖を早めて、コラーゲン合成を促進させるかどうかなどの機能的解析へと進む。 <方法>ケロイド患者の末梢血およびケロイド組織片よりリンパ球を培養し、CD4,INF-y,IL-4,IL-17で標識して、フローサイトメトリー法にてTh1,Th2,Th17細胞の分布を検討した。同様に正常人の末梢血および皮膚片よりリンパ球を培養してケロイド患者と比較検討した。また、それぞれの培養上清中のIL-6,IL-17,IL-22をELISA法により測定した。 <結果>ケロイド患者の末梢血中およびケロイド組織中のTh17細胞の割合は、正常人末梢血中および正常皮膚組織中と比較して、増加していた。また、培養上清中の、IL-6,IL-17,IL-22も、ケロイドで増加していた。 <考察> ケロイド患者の末梢血およびケロイド組織中のTh17の割合が増加し、Th17関連サイトカインの上昇も確認されたことから、ケロイド発生とTh17の関わりが強く示唆された。また、Th17の割合が増加した結果、Th17よりIL-6がさらに分泌されており、これが、ケロイドにおける炎症の継続およびコラーゲン合成促進を引き起こしている可能性がある。今後、正常真皮由来線維芽細胞に、IL-6およびIL-17を作用させ、細胞増殖能やコラーゲン合成能への影響を確認する機能的解析へと進む。
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