2009 Fiscal Year Annual Research Report
天然高分子と合成高分子の複合化技術を導入した自家移植モデルにおける軟骨再生
Project/Area Number |
21592300
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
磯貝 典孝 Kinki University, 医学部, 教授 (90203067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝村 真一 近畿大学, 医学部, 准教授 (20340804)
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Keywords | 軟骨 / 組織工学 / ポリマー |
Research Abstract |
本年度の研究では、異なる部位(皮下および筋膜間)に移植した細胞・高分子複合体におけるフィブリンの有用性について検討した。 皮下移植群(Group IおよびII)における経時的変化:Group I(細胞・高分子複合体を皮下移植した群)では、全ての観察時期において、組織学的に異調染色性は観察されず、軟骨再生は認められなかった。Group II(フィブリンを用いて複合化処理した細胞・高分子複合体を皮下移植した群)では、移植1および3週目において異調染色性は観察されなかったが、移植5週目において、複合体内部に散在性異調染色を示す島状領域が出現した。移植後10週目において、移植5週目に観察された島状領域は消失し、Elastica Van Gieson染色を用いた組織学的検討より、複合体内部の島状領域は、膠原線維によって置換されていた。これらの結果から、皮下<そけい部>は移植部位として不適切であることが示唆された。 筋膜間に移植した群(Group IIIおよびIV)における経時的変化:Group III(細胞・高分子複合体を筋膜間に移植した群)では、移植3週目において,複合体全体が強い異調染色性を示し、軟骨形成を認めた。一方、Group IV(フィブリンを用いて複合化処理を施した細胞・高分子複合体を筋膜間に移植した群)では,移植1週目において異調染色性を示す島状領域が出現し、複合体内部において部分的な軟骨形成が認められた。さらに移植3,5,10週目において、強い異調染色性を示す領域は複合体全体に拡大し、形成された軟骨組織は経時的に厚く変化した。またGroup IIIおよびIVの両群において、形成された軟骨組織の内部には弾性線維が多数認められ、弾性軟骨に特徴的な網状構造として観察された。新生軟骨の定量的評価として、標本摘出時期における軟骨の厚さを検討した。その結果、全ての観察時期において、Group IIIに比較してGroup IVの軟骨組織は統計学的有意に厚いことが判明した(p<0.01)。このため、フィブリンを用いて複合化処理を施した細胞・高分子複合体では、軟骨形成が促進されることが判明した。さらに、Group IIIおよびIVにおける軟骨の厚さの経時的変化を比較検討した。その結果、両群において、移植3週目に比較して移植10週目の軟骨組織の厚さは有意に増加していた(p<0.05)。
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Research Products
(7 results)