2010 Fiscal Year Annual Research Report
天然高分子と合成高分子の複合化技術を導入した自家移植モデルにおける軟骨再生
Project/Area Number |
21592300
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
磯貝 典孝 近畿大学, 医学部, 教授 (90203067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝村 真一 近畿大学, 医学部, 准教授 (20340804)
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Keywords | 軟骨再生 / フィブリン / 生分解性ポリマー / bFGF |
Research Abstract |
われわれは、播種細胞の漏出を抑制して播種効率を向上させるため,生体吸収性の合成高分子(PGA)と天然高分子(フィブリン)を複合化する技術を開発した。昨年度の研究では、複合化した分解性高分子を試用して自家移植モデルの軟骨再生を試みた。本年度は、本モデルに塩基性線維芽細胞増殖因子(b-FGF)徐放システムを導入して、b-FGFによる軟骨再生の促進効果と軟骨再生における新生血管の役割について検討した。 細胞・高分子複合体におけるb-FGF徐放システムによる軟骨再生促進作用を検討するため、以下の4群を検討した。まず、Group I(細胞・高分子複合体を移植した群)とGroup II(b-FGF徐放システムを施した細胞・高分子複合体を移植した群)を比較検討した。次に、フィブリンを用いて複合化処理を施した細胞・高分子複合体における軟骨再生促進作用を検討するため、Group III(フィブリンによる複合化処理を施した細胞・高分子複合体を移植した群)とGroup IV(b-FGF徐放システムおよびフィブリンによる複合化の両処理を施した細胞・高分子複合体を移植した群)を比較検討した。 その結果、b-FGF徐放システムを施さなかった群(Group IおよびIII)では、複合体を取り囲む線維性組織の内部もしくは外部に、比較的径の小さな血管からなる血管網が形成されていた。b-FGF徐放システムを施した群(Group IIおよびIV)では、複合体を取り囲む線維性組織の周囲に、明らかに径の大きい血管からなる血管網の形成が観察された。 まとめ:(1)b-FGF徐放システムを複合化高分子(スカフォールド)に組み込んだ結果、軟骨再生は著しく促進した。(2)免疫組織化学的検討の結果、b-FGF徐放システムによって径の大きい血管から形成される血管網が誘導されることが判明した。
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