2011 Fiscal Year Annual Research Report
天然高分子と合成高分子の複合化技術を導入した自家移植モデルにおける軟骨再生
Project/Area Number |
21592300
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
磯貝 典孝 近畿大学, 医学部, 教授 (90203067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝村 真一 近畿大学, 医学部, 准教授 (20340804)
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Keywords | 軟骨再生 / フィブリン / 生分解性ポリマー / bFGF |
Research Abstract |
天然高分子(フィブリン)が、播種細胞に特異的に結合し、高い細胞接着性と細胞増殖活性作用を持つことが報告されている。われわれは、この性質に着目して、天然高分子(フィブリン)を介在させて、播種細胞を吸収性合成高分子(PGA)に効率よく接着させて実質的な播種濃度を高める新技術を開発した。この結果、播種細胞の接着効率は著しく向上し、大動物を用いた自家移植モデルにおいても、良好な軟骨再生が可能となった。しかし、特定の3次元形状を有する軟骨の再生誘導技術は未だに確立されていない。PGAは生体内分解速度が比較的早く、そのため単一のスカフォールドとして試用する場合、物理的強度の不足や体積減少などの問題点を補う必要があった。そこで、本年度の研究では、自家移植モデルにおける3次元形状軟骨のTissue engimeeringにおいて、特にスカフォールドの改良を行った。生体親和性と力学的強度をかね備えた非吸収性合成高分子をPGAに組み合わせ、作成した三次元耳介形状スカフォールドを用いて軟骨再生が可能であるか否かを検討した。実験では、吸収性高分子PGAと非吸収性高分子proleneを組み合わせて複合化し、スカフォールドの物理的強度を向上させた。この複合化高分子を自家移植モデルに用いて、ヒト耳介形状を有する三次元軟骨の再生誘導を試みた。採取した再生軟骨を肉眼的、組織学的、力学的に検討した結果、proleneは異物反応を起こさず、三次元形状を維持するためのフレームワークとして適していることが判明した。また、再生軟骨は、三次元形状を維持するために必要な高い力学的特性と支持性を保持していることが明らかとなった。さらに、体積減少の問題点を補う目的で、複合化高分子に組み込んだ塩基性線維芽細胞増殖因子(b-FGF)徐放システムを導入し、軟骨再生における有用性を検討した。その結果、軟骨基質が早期誘導され、再生軟骨の三次元形状維持と良好な弾力性が確保された。今後、これらの新技術を基盤として、大動物の自家移植モデルにおいても、ヒト耳介形状軟骨を再生誘導しうる可能性が高まった。
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Research Products
(4 results)