2010 Fiscal Year Annual Research Report
PPARガンマKOマウスを用いた敗血症モデル毛細血管内皮細胞の果たす役割の検討
Project/Area Number |
21592303
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
國元 文生 群馬大学, 医学部, 准教授 (70125847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯 達也 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (10400756)
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Keywords | 敗血症 / 毛細血管内皮細胞 / 脂肪酸代謝 / 糖代謝 / 心機能 / PPARγ / FABP4 / FABP5 |
Research Abstract |
重症感染症は敗血症を引き起こし、その過剰な免疫反応により敗血症性ショックを惹起し、その結果として多臓器不全が生る。近年、重症患者の病態・予後を改善するものとしてインスリン療法が施行されるが、昨今の臨床試験では、少なくとも強化インスリン療法に関しては推奨しないとする論調が増えてきている。敗血症の主な死因のひとつとして心機能低下による心不全があるが、心筋代謝と心機能の関連については不明の点が多い。申請者らは心臓の毛細血管内皮細胞に注目し、毛細血管内皮細胞にPPARγが発現することを見出し、内皮機能を介する代謝制御が敗血症時の心機能に影響を及ぼすと予想した。しかしながら、前年度までの実験で、リポポリサッカライド(LPS)投与により作製された敗血症モデルでは、野生型と内皮特異的PPARγノックアウトマウスで、生存率に有意差を認めなかった。平成22年度は、心臓での糖代謝が劇的に増加し脂質代謝が減少するFABP4/5ダブルノックアウトマウスを用いて、内皮細胞を介するエネルギー代謝の変化が、敗血症の生命予後や心機能に影響を及ぼすかどうか検討中した。LPS投与後の生存率は、FABP4/5ダブルノックアウトマウスにおいて野生型より明らかに良好で、心機能の低下も抑制された。NO産生や炎症性サイトカインのレベルの違いを認めなかったため、心筋の糖代謝が優位になったことが心機能の低下が軽減した理由のひとつであると考えている。これらの結果から、心筋のエネルギー基質を脂肪酸より糖有意にすることが敗血症時の心機能の維持に有効である可能性があることと、敗血症時にインスリン療法が有効である理由のひとつに心臓での糖代謝改善作用がある可能性が示された。
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Research Products
(19 results)