2009 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症の多臓器不全に関連する細胞傷害性シグナル経路を主要臓器系毎に解析する
Project/Area Number |
21592304
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
張 京浩 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 講師 (50302708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 芳嗣 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30166748)
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Keywords | 敗血症 / 一酸化窒素 / アポトーシス / 炎症性メディエーター / 急性尿細管障害 / 多臓器不全 / 酸化ストレス / 細胞死 |
Research Abstract |
敗血症における多臓器不全のメカニズムを解析するために、各種の培養細胞系に炎症性メディエーター(inflamix : LPS/TNFα/IFN_Y)を投与し、その際、活性化される細胞傷害性シグナルを解析し、in-vitro敗血症モデルを作成した。特に敗血症における急性尿細管障害のモデルとしてラット近位尿細管細胞(IRPTC)を採用し、以下のような知見を得た。 1.IRPTCにおいてinflamixの投与によりiNOSの誘導、NOの過剰産生、細胞死、apoptosis signalの活性化を認めた。 2.特異的iNOS阻害剤はこの細胞傷害性を効果的に抑制したが、完全抑制ではなく、NO非依存性の細胞傷害の存在が示された。 3.iNOS阻害剤以外にこの細胞傷害性を減弱する薬剤として、dexamethasone、melatonin、spironolactoneがあげられた。これらはどれもiNOSを介するNOの産生を部分的には抑制していたが、iNOSに特異的な抑制というより、MAP kinaseやNF-kBなどの系を抑制することで、炎症反応全体を修飾している可能性が重要と考えられた。 4.さらに、iNOS阻害剤によるrescue効果には時間依存性が認められ、すなわち、inflamixによる早期の細胞傷害性を著明に抑制したが、後期の細胞傷害性に対する効果は弱いか、むしろ細胞傷害性を増悪した。この知見は、重症炎症におけるiNOS阻害剤の効果が一定しない現象への分子的基盤を与える新しい知見であった。 5.以上のデータをもとに、成果を現在投稿準備中である。
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Research Products
(3 results)