2011 Fiscal Year Annual Research Report
高温環境下の血管内皮細胞における抗炎症効果―温度と生体防御反応
Project/Area Number |
21592315
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
木下 浩作 日本大学, 医学部, 准教授 (90260968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 淳 日本大学, 医学部, 助教 (40339320)
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Keywords | 高温 / サイトカイン / ヒト臍帯静脈血管内皮細胞 / interleukin (IL)-8 / IL-6 / 炎症 |
Research Abstract |
高温環境への暴露は、血管内皮細胞傷害と関係する重要な因子である。特に、熱中症患者に発症する全身性の血管内皮細胞傷害は炎症性微小循環障害を引き起こし、多臓器不全をきたすが、その危険因子は未だ明らかでない。血管内皮細胞は、各種のサイトカイン、接着因子、フリーラジカルおよびchemoattractant mediatorsなど生体内で産生される液性因子を介する多臓器不全発症に関与していることが指摘されている。Interleukin(IL)-8は血管内皮細胞からも産生され、急性炎症反応をmediateするkeymediatorとして認識されており、炎症部位における好中球の遊走や活性化刺激に対し中心的な役割を担っている。昨年度まで高温環境では、血管内皮細胞でのIL-8 mRNAは早期から発現するが、IL-8産生は逆に抑制されることを明にしてきた。高温環境への暴露は、血管内皮細胞傷害と関係する重要な因子であると考えられる。特に熱中症では、血管内皮細胞傷害による多臓器不全の進展が転帰を左右する。今年度までの研究により高温環境(39,40℃)では、(1)血管内皮細胞でのinterleukin(IL)-6,8 mRNAは早期から有意に発現(p<0.01)するが、逆にIL-6,8産生は温度依存性に抑制(p<0.01)される、(2)IL産生能は高温環境で温度依存性に低下するが、一定の閾値を超えた高温刺激(40℃)はmRNAの長期発現をもたらし、IL抑制後の有意なIL産生(rebound effect)をきたすことを明らかにできた。また、これらIL-6,8の高温に対するサイトカインの反応性の再現性の確認もできた。
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Research Products
(1 results)