2011 Fiscal Year Annual Research Report
急性肺障害における血管内皮前駆細胞の動態解析:自家移植による再生治療の試み
Project/Area Number |
21592318
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
武山 直志 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (00155053)
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Keywords | 急性肺障害 / 内皮前駆細胞 / 自家移植 / VEGF |
Research Abstract |
線溶抑制は、血栓形成による微小循環障害を惹起し多臓器不全の一因となりうる。plasminogen activator inhibitor(PAI)-1は線溶系の律速酵素であり、その活性亢進は線溶系を抑制すると考えられている。ICUの重症患者ではしばしばPAI-1の亢進が認められ線溶抑制の一因となっている。PAI-1遺伝子には4G/5G polymorphism(rs1799768)の存在が知られその遺伝子多型のうち4G alleleがPAI-1活性亢進の原因として重要である。今回ICUで管理した重症患者41名の4G/5G遺伝子多型を検討し、その多型性とPAI-1活性値、ICU死亡率との関連性を検討した。その結果PAI-1活性値は4G/4G 193.31±167.93ng/ml,4G/5G 100.67±114.16ng/ml,5G/5G 0.43±0.53ng/mlであり、4G alleleとPAI-1活性亢進との間に強い正の相関を認めた。ICU死亡率は4G/4Gが63%,4G/5Gが33% 5G/5Gで0%と4G alleleと死亡率との間に強い正の相関を認めた。4G allele対5G alleleの死亡に対するオッズ比は3.26(CI=1.19-8.93)であった。今回の結果より4G/5G遺伝子多型はPAI-1活性値に大きく影響を与えていることが明らかになった。また4G alleleの存在は死亡率を悪化させる因子となることも明らかになった。この結果より、線溶抑制による微小循環障害が重症患者の病態悪化に大きく影響を与えている事が推測された。今後は循環障害の指標である乳酸値、血栓形成の指標であるDICスコアなどと4G/5G遺伝子多型との関連を検討する必要がある。
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Research Products
(2 results)