2009 Fiscal Year Annual Research Report
新たに同定したセメント芽細胞特異マーカーを用いたセメント質形成過程
Project/Area Number |
21592322
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
河野 芳朗 Niigata University, 医歯学系, 助教 (60303129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 健康 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40183941)
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Keywords | 歯根形成 / アクアポリン / セメント質 / 顕微解剖学 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
齧歯類切歯の舌側歯根相当部は無細胞セメント質でおおわれ、その歯周組織は萌出する切歯とともに切縁方向に移動する。切歯付着歯肉部位には持続的に細胞成分や歯根膜線維の流入が起こっているにもかかわらず、萌出した切歯舌側歯根相当部表面には細胞成分や歯根膜線維は見られない。付着上皮直下でこれらが処理されることが推測されるがその機序については不明な点が多かった。我々はこれまで、臼歯の歯根発生を詳細に観察しセメント質表層のAQP1陽性細胞が、形態学的、免疫組織学的、発生学的な検討によりセメント芽細胞であることを明らかにした。また、AQP1をセメント芽細胞のマーカーとして持続的にセメント質形成が起こる齧歯類無根歯付着上皮直下でのセメント芽細胞の動態について観察した。付着上皮直下に来たAQP1陽性細胞は付着上皮を越えられずにセメント質表面を離脱して歯肉上皮下へ流れていく象が観察された。また、舌側歯肉上皮直下には多数のアポトーシス像が観察され、それらの中にはAQP1陽性を示す物も見られた。また、下顎切歯の切縁を削合して切歯の萌出速度を変化させた実験群ではAQP1陽性細胞は付着歯肉境界部に到達することなくアポトーシス様変性を起こして消失していく像が観察された。また、付着上皮直下にはED1陽性細胞が多数存在しAQP1陽性細胞を貪食しているような像が観察された。これらのことから、無根歯セメント芽細胞は萌出直前に生理的条件下および非生理的条件下でアポトーシスを起こして消失することが明らかになった。
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