2010 Fiscal Year Annual Research Report
口腔・顔面の痛覚異常と中枢神経系グリア細胞の活性化に関する研究
Project/Area Number |
21592324
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
寺山 隆司 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (60333689)
|
Keywords | MAP kinase / 神経損傷 / 痛覚異常 / ミクログリア / アストログリア / 三叉神経知覚核群 |
Research Abstract |
本研究では三叉神経系の神経損傷によって起こる三叉神経知覚核群でのMAP kinaseの活性化とこれらの痛覚異常への関与を検討している。昨年度までに、ERKとp38 MAP kinaseのリン酸化が舌神経損傷後に異なる時間経過で増加することと尾側亜核、吻側亜核および主知覚核でその増加が顕著であることを明らかにしたが、本年度は、これらのMAP kinaseのリン酸化がどの細胞タイプで起こり、さらにその時間経過について蛍光2重染色を用いて調べた。その結果、ERKは神経損傷後1日では、主にミクログリアでリン酸化が起こっていて、その後3日、7日経過するとミクログリアでのリン酸化は減少し、アストロサイトでのリン酸化が増加した。またp38 MAP kinaseに関しては時間経過に関係なく、主にミクログリアでリン酸化が起こっていることが明らかとなった。さらに舌神経あるいは下歯槽神経損傷後に舌神経を低閾値あるいは高閾値で電気刺激して三叉神経知覚核群におけるニューロンの興奮性の変化を検討したところ、吻側亜核および尾側亜核でそれぞれ異なる様式の興奮性の変化が起こっていることが明らかとなった。これらの結果から舌神経損傷後に三叉神経知覚核群の各部位でMAP kinaseのシグナル伝達が活性化され、これらの変化が神経損傷後の痛覚異常に関与する可能性が示唆された。なお、これらの研究成果は歯科基礎医学会学術大会および第116回日本解剖学会総会・全国学術集会(誌上開催)において発表するとともに学術雑誌Neuroscience Researchに掲載された。
|
Research Products
(4 results)