2011 Fiscal Year Annual Research Report
γ-GTPを標的とした新規骨疾患治療法開発に関する検討
Project/Area Number |
21592328
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮内 睦美 広島大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (50169265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 隆 広島大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (10154783)
北川 雅恵 広島大学, 病院, 助教 (10403627)
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Keywords | γ-GTP / 骨破壊 / 歯周病 / 骨粗鬆症 / 治療薬 / 抗体 |
Research Abstract |
1)BDLラットでみられる骨量の減少に及ぼす抗γ-GTP抗体(AGT3)の影響をμ-CTにて検討した.胆管結紮により最も変化したのが皮質骨の面積であった.BDL群ではSO群の約49.2%まで減少したが,AGT3抗体投によって89.2%まで回復した.皮質骨幅は53.1%まで減少したが,AGT3群では93.2%に改善した.一方,BDL群では骨芽細胞数や骨梁の減少が観察されるが,AGT3抗体投与は海綿骨におけるこれらの変化にはあまり影響しなかった. 2)骨芽細胞系細胞株(ST2)を用い破骨細胞誘導に関わるサイトカインと発現に及ぼすγ-GTPの影響を調べた.γ-GTP刺激によりTNF-α,IL-1βおよびRANKL発現が上昇した.AGT3抗体処理はγ-GTPによるTNF-α発現を著明に抑制した.我々はγ-GTPによるサイトカイン発現誘導に受容体X(未発表データ)が関わる可能性を見いだした.受容体Xのinhibitor処理によって有意に抑制された 3)骨芽細胞の骨形成能に及ぼすγ-GTPの影響を調べた.γ-GTPは骨芽細胞のALPase活性や石灰化能を抑制し,ALPaseやBSPの発現を遺伝子レベルで抑制した. 4)γ-GTP抗体の歯周局所への投与はγ-GTPによって誘導される歯槽骨破壊を有意に抑制し歯肉溝浸出液中のγ-GTP活性と歯周炎の病態との関連性を検討したところ,γ-GTP活性は歯周炎の疾患状態(ポケットの深さ,骨吸収度)と関連することがわかった. 胆汁うっ滞性肝疾患患者では,2次的な骨粗鬆症がおこり,骨折によるQOL低下が問題になっている.γ-GTPは破骨細胞性骨吸収の活性化や骨形成抑制を誘導し,海面骨梁の減少や皮質骨の菲薄化に係わることが証明できた.また,AGT3抗体はγ-GTPによる骨量減少を有意に抑制し,肝疾患に伴う2次的骨粗鬆症や歯周炎の新しい予防,治療薬となる可能性が示唆された.
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