2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21592334
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
城戸 瑞穂 Kyushu University, 大学院・歯学研究院, 准教授 (60253457)
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Keywords | 口腔粘膜 / 上皮細胞 / センサー / 温度感覚 / TRPチャネル |
Research Abstract |
美味しい食事を楽しむことは生物が生きていく基本的な営みである。「味」は、5つの基本味(甘味・苦味・酸味・塩味・うま味)を中心に、特異的な受容体が単離され、その受容機構や情報伝達機構についての研究が進められている。その一方で温かさや冷たさ・歯触りといった、基本味ではくくれない「味」については、教科書的には口腔粘膜に分布する神経終末がそれらの受容に関わっていると記載されているが、明らかな説明ができないままであると理解している。そこで私たちは、口腔粘膜上皮を感覚器としてとらえ、口腔内を覆っている上皮自体が感覚認識に関わっているという仮説を立てた。唐辛子の主成分で脂溶性刺激物質であるカプサイシンが、口腔内でどのように受容されているか、また口腔上皮細胞にて温度感受性チャネルとして知られているTRPチャネルが刺激をどのように受容しているのか、上皮細胞からの伝達物質は何かを明らかにすることを目的とした。そして、口腔上皮には唐辛子の辛味成分であるカプサイシンの受容体TRPV1や温度感受性のTRPチャネルファミリーのTRPV2, TRPV3, TRPV4など発現していることを確認した。また単離した口腔上皮細胞においてTRPV1作用薬であるカプサイシン,TRPV1/TRPV2/TRPV3の作用薬である2-APB(2-aminoethoxydiphenyl borate), TRPV3の作用薬であるcamphor, TRPM8の作用薬であるmentholにより細胞内カルシウム流入が起こることを見出した。またその反応はTRPチャネルの非選択的な拮抗剤であるruthenium redにより阻害された。一部の細胞は2種以上の作用薬で反応を示すことからTRPチャネルが少なくとも2種以上機能している可能性が示唆された。よって、口腔上皮細胞において口腔内環境センサーとしてTRPチャネルが関与していることが考えられる。
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