2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト唾液腺悪性腫瘍の癌幹細胞の同定と腫瘍組織構築への関与
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21592335
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤田 修一 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (00181355)
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Keywords | 癌幹細胞 / 睡液腺腫瘍 / 多形腺腫 / 腺様嚢胞癌 / CD133 / CD44 / 細胞外基質 / ニッチ |
Research Abstract |
癌幹細胞は、腫瘍組織の発生、組織構築、予後に緊密に関与している細胞である。唾液腺腫瘍は組織構築が多彩で、病理診断に難渋することもある。本研究では、唾液腺腫瘍の癌幹細胞の同定と共に、その分布を明らかにすることで、特徴のある唾液腺腫瘍構築に癌幹細胞がどのように関係しているのかを検討した。唾液腺腫瘍の新鮮材料の入手が困難であったため、唾液腺腫瘍の癌幹細胞マーカー決定には至らなかったが、唾液腺腫瘍のうち、頻度が高い多形腺腫(PA)と腺様嚢胞癌(AdCC)について,CD133,CD44を用いて、免疫組織化学的検索を行い、比較することでその特徴を解析した。なお、CD133,CD44は乳癌、膵臓癌等の腺癌の癌幹細胞のマーカーとして使用されている。材料はホルマリン固定パラフィン包埋されたヒト症例である。PAでは充実性の部分でCD44陽性細胞の集団が巣状に点在し、充実部に含まれる小型の腺管をなす腺上皮にも陽性細胞がみられた。二層性の腺管構造では基底部の細胞に陽性細胞が認められ、細胞外基質に浮遊するような細胞ではほとんどが陰性であった。AdCCではCD133やCD44が、充実型でびまん性に陽性細胞が存在し、篩状型での偽嚢胞を構成する細胞や細胞外基質に接する部位、及び管状型での基底側で陽性細胞が認められた。概して、PAでは細胞外基質の産生によるmixed appearanceの形成に伴って腫瘍幹細胞は減少するが、AdCCでは、細胞外基質に接する部位に保存されている。癌幹細胞は周辺環境(ニッチ)によって制御されているが、特に、悪性腫瘍であるAdCCでは腫瘍幹細胞は唾液腺腫瘍に特徴的な細胞外基質によって、その活性が制御されていることが考えられる。AdCCの組織学的な腺管構造、篩状構造、充実性構造の形態形成に癌幹細胞とニッチの相互作用が関係していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)