2011 Fiscal Year Annual Research Report
侵襲型歯周炎原因菌のキノールペルオキシダーゼの生理的役割と病原性との関連の研究
Project/Area Number |
21592346
|
Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
古西 清司 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (20178289)
|
Keywords | 蛋白質 / 歯学 / 微生物 / 感染症 / 細菌 |
Research Abstract |
侵襲型歯周炎原因菌Aggregatibacter actinomycetemcomltansは膜結合性キノールペルオキシダーゼ(QPO)を産生する。本酵素は申請者らが精製、遺伝子のクローニングを行い、生化学的性質を報告した。QPOはユビキノール-1を還元し、H_2O_2を酸化して水とする活性を有し、呼吸鎖成分のキノンと連結しているので、呼吸鎖のメンバーとしても捉えることができる。今までに、QPOの阻害剤としてアスコフラノンとアスコクロリンを見いだし、前者に関して詳細な阻害機構の解析を行い、すでに報告済みであるが、アスコクロリンについても解析を行い、特に生菌に添加すると増殖及び病原因子LtxAの分泌量が減少した。現在動物実験系を用いて生菌の病原性に対する2種の阻害剤の作用を検討中である。さらに300種類の化合物ライブラリーを調べたが、現時点では上記以外の阻害剤は見つかっていないのでスクリーニングを継続する。また大腸菌を用いたリコンビナントQPOの発現系について検討したところ、γ-アミノレブリン酸の添加によって本酵素の発現量が増加した。今後、さらにより良い培養条件を検討する。また、すでに部位突然変異をQPOに導入する系を確立しているので、変異QPOを順次作製、解析を行っていく。今年度は、QPOの動力学的な解析、さらには基質であるが高濃度で酵素を失活、変性させるH_2O_2によるQPOに対する阻害作用について検討し、学会発表を行った。これによるとQPOはH_2O_2で不可逆的に完全失活し、標的部位は一カ所で、活性に必須であることが推定された。また生成物阻害様式により、QPOの触媒反応はTheorell-Chance Bi Bi、あるいはPing Pong Bi Bi機構であることが推定されたが、2つの基質の酵素への結合活性の解析により確定できると考えられ、現在解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、国際雑誌への論文発表2編、学会発表2回行っている。結晶化の進捗状況は必ずしも順調ではないが、膜タンパクの結晶化は困難であることが極めて多く、想定内であると考えられる。リコンビナント酵素の発現、酵素の動力学的解析、阻害剤のスクリーニングに関してはおおむね順調に進展していると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
あと1年で本課題が終わるが、特に突然変異体QPOの作製に関して、研究の主力を移して推進したいと考えている。酵素の結晶化に関しては、今まで通りのペースで進めていく。
|
Research Products
(2 results)