2009 Fiscal Year Annual Research Report
ラット舌炎症モデルを用いた脈管内皮細胞の増殖分化機構の解明
Project/Area Number |
21592348
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
黒田 範行 Tsurumi University, 歯学部, 助教 (50359915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 哲二 鶴見大学, 歯学部, 教授 (10162447)
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Keywords | 舌炎 / LPS / アデノシンレセプター / 抗原提示細胞 |
Research Abstract |
ラットの舌にLPSとアジュバントを混合して接種する事で、実験的に舌炎モデルを作製する事に成功した。この舌炎モデルラットの舌をHE染色などで観察すると、接種後8日目辺りでリンパ球の浸潤などと同時に多数の血管造成が見られた。この舌よりRNAを抽出してreal-time PCRにより血管造成因子であるVEGF遺伝子の発現量を測定すると有意に増加している事が判明した。そこでこのVEGFを産生している細胞種を同定するために舌の標本を用いてMHC class IIに対する抗体である抗OX6抗体、ランゲルハンス細胞を染色する抗ランゲリン抗体、マクロファージを染色する抗ED1抗体、抗ED2抗体等を用いて免疫組織化学染色をおこなったところ、これらの陽性細胞の一部はVEGFも産生している事が判明した。 これらの事より実験的舌炎モデルラットにおいてはマクロファージや樹状細胞等の抗原提示細胞等がVEGFを産生し、血管造成に関与している事が判明した。 またいくつかの文献で血管造成にアデノシンレセプター関与しているとの報告があるので、この舌炎モデルにおける血管造成へのアデノシンレセプターの関与を調べるために、舌にLPSを注入する際にアデノシンレセプターのアンタゴニストを同時投与して血管造成への影響を調べてみた。 その結果、アデノシンレセプターA2a、A2bに対するアンタゴニストを投与する事で、有意に血管造成が抑制され、VEGF遺伝子の発現量も抑制されている事が判明した。 以上の結果より、舌炎モデルにおいてはアデノシンレセプターの関与するシグナル経路を経由して抗原提示細胞の産生するVEGFにより血管の造成が起きている事が示唆された。
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