2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21592355
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
織田 公光 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10122681)
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Keywords | 石灰化不全 / 骨と歯 / アルカリホスファターゼ / 遺伝子疾患 / 骨代謝異常 / 先天性 |
Research Abstract |
1.小児型あるいは歯限局型低ホスファターゼ症患者で報告されたヒト組織非特異型アルカリホスファターゼ(TNSALP)の99番目(非標準命名法)のアラニン残基がトレオニンに置換されたミスセンス変異[TNSALP(A99T)]を解析するために変異型酵素を一過性あるいは樹立細胞に発現して細胞生物学的な詳しい解析を行った。特に、ショ糖密度勾配遠心法に基づく解析により、野生型酵素がホモ2量体を形成するのに対して変異酵素はホモ2量体の形成できずに単量体あるいはそれがジスルフィド結合で架橋された高分子量の凝集体として細胞に存在することが明らかになった。興味深いことに、この単量体あるいは凝集体は細胞表面に到達できることも分かった。さらには野生型と変異酵素を共発現させると野生型酵素の一部が高分子量の凝集体に取り込まれることも明らかにした(研究発表、雑誌論文の1、Ishida Y他)。本変異は優性遺伝することが家系の調査から明らかになっており、野生型と共発現すると野生型酵素を阻害する、いわゆるドミナントネガチブ作用を有することが知られているが、本研究からその分子メカニズムの一端が明らかとなった。 2.歯限局型低ボスファターゼ症患者で報告された91番目のプロリン残基がロイシンに置換された[TNSALP(P9IL)の解析に着手し現在も継続中である。一過性に細胞に発現して解析を行ったところ、活性がほとんど失われていること、但し、細胞表面には発現していることなど上記の[TNSALP(A99T)]によく似た分子的な性質を示すことが分かって来て、同じく優性遺伝する可能性がある。ごく近傍に活性中心であるセリン残基(93番目)があることから,91番目のアミノ酸の置換が活性部位の立体構造を破壊している可能性が示唆された(学会報告金城(沼)奈津子他)。
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Research Products
(5 results)