2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21592355
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
織田 公光 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10122681)
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Keywords | 石灰化 / 骨と歯 / アルカリフォスファターゼ / 遺伝子疾患 / 骨代謝異常 / 発症の分子基盤 |
Research Abstract |
低ホスファターゼ症は組織非特異型アルカリフォスファターゼ(TNSALP)の突然変異による先天的な遺伝子疾患であることが知られているが、個々の変異がTNSALPに及ぼす影響については限られた症例にのみで報告されている。本研究では重症例で報告されたミスセンス突然変異に着目してその影響を詳細に解析した。 (1)いずれも変異により、201番目あるいは497番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたためにサブユニット内でジスルフィド結合ができない症例について。野生型酵素をコードする発現プラスミドを鋳型に部位特異的な突然変異を導入して変異酵素をコードするプラスミドを得た(TNSALPC201Y,TNSALPC497S)。次に一過性及び条件発現株化細胞を用いて細胞生物学的な解析を行った。その結果、野生型に比べて各変異酵素は活性を保持した酵素分子がわずかに細胞表面に発現するだけであることが明らかとなり、その原因はジスルフィド結合が形成されないためにサブユニットが適切な構造をとれないないこと、従い活性発現に必須な2量体構造を獲得できないことが判明した。 この研究はTNSALP分子の形成におけるジスルフィド結合の重要性を示したことによりで当該分野の雑誌に採択された(雑誌論文1、BBA Molecular basis of disease)。 (2)重症例の患者で報告されたミスセンス変異[TNSALPG403S]の解析。(1)と同様な解析方法を用いて一過性の発現系と条件発現系での詳細な解析を行った。本変異酵素は全く活性を失っているにも係わらず、イムノブロティングによる分子サイズの比較や蛍光抗体法による観察では野生型とは区別ができなかった。しかし、ショ糖密度勾配法での解析により、変異酵素は野生型酵素と同じく糖鎖の修飾を受けて細胞表面には到達するが、単量体のままで存在することがわかった.403番目のアミノ酸は単量体が2つ合わさって2量体を形成するインターフェイスに存在すると想定されていることから、アミノ酸の置換が2量体への会合を妨げることが推定された(発表及び論立の準備中).
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Research Products
(5 results)