2009 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性プロテアーゼの分泌機構解明とその制御法探索
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21592364
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
筑波 知子 (門脇 知子) Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70336080)
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Keywords | プロテアーゼ・アドヘジン / 膜輸送・分泌 / 二成分制御系 / 細菌 / シグナル伝達 / リン酸化 |
Research Abstract |
本研究は、歯周病原性細菌P.gingivalisにおける病原性プロテアーゼ・アドヘジン(付着因子)の膜輸送・分泌機構、および高分子複合体形成機構を解明することを目的とする。P.gingivalisの分泌・膜輸送に障害を示す白色コロニーを呈する変異株の解析から独立した12の遺伝子が同定された。これらのうち7つの遺伝子は土壌細菌であるFlavobacterium. Jonsoniaeの滑走運動関連因子と類似性を示し、別の2遺伝子は、ORFのアミノ酸配列情報から、二成分制御系を構成する因子であると考えられた。二成分制御系は細菌における環境センシングとそれに基づく代謝の制御を行なう機構として最も重要なもののひとつである。一般的に二成分制御系は、環境状態を認識するセンサーキナーゼと下流のイベントを調節するレスポンスレギュレーターで構成される。本研究では、これらに類似性が示唆された遺伝子PGN1019(porX:レスポンスレギュレーター)とPGN2001(porY:センサーキナーゼ)が、それぞれ真に制御活性を持つのか、個々の遺伝子から大腸菌に発現させた組換えタンパク質を精製して、機能を調べた。膜貫通ドメインを欠くPorYはin vitroにおいて[^<32>P]γ-ATP添加後直ちに自己リン酸化を起こし、この反応は0℃でも進行した。また、PorY上のリン酸基は時間依存性にPorXに転移された。PorYとPorXの相互作用はBIA-CORE生体分子相互作用解析装置によっても確認され、両者が二成分制御系を構成することが示された。さらにPorXは一般的なレスポンスレギュレーターとは異なり、直接の転写調節機能を持たず、代わりに弱いフォスファターゼ活性を示すことがわかった。今後、さらにPorX-PorYシステムによるプロテアーゼ・アドヘジン分泌の制御機構を詳細に解析する予定である。
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