2011 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性プロテアーゼの分泌機構解明とその制御法探索
Project/Area Number |
21592364
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
筑波 知子 (門脇 知子) 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70336080)
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Keywords | 歯学 / 細菌 / プロテアーゼ / 膜輸送 / シグナル伝達 / リン酸化 |
Research Abstract |
我々はこれまでに歯周病原性細菌P.gingivalisの病原性因子分泌にかかわる12個のタンパク質を同定し、これらのうち二成分制御系システム(TCSTS)のタンパク質と考えられる2つ(PorXとPorY)について解析を行った。PorXあるいはPorYの欠損変異株では、定量的PCR解析によりジンジパインのmRNAレベルは上昇するものの成熟タンパク質は菌体外に分泌されず、細胞質に不活性型分子として蓄積していた。これに反して、分泌装置構成タンパク質のmRNAは有意に減少し、転写抑制されていた。一般にTCSTSのキナーゼ(HK)と調節因子(RR)遺伝子はオペロンを形成するが、porYとporXは孤立遺伝子であるため、関連性を調べた。組換え型PorYタンパク質は自己リン酸化し、そのリン酸基はPorYからPorXに転移された。PorYとPorXの相互作用はBIA-CORE生体分子相互作用解析装置によっても確認され、両者が相互作用することが示された。大多数のRRはそのC末端領域にDNA結合ドメインを有し、調節を受ける遺伝子の上流に結合して転写を制御する。しかし、PorXにはDNA結合モチーフがなく、ゲルシフト法によっても分泌装置タンパク質遺伝子群5'領域に結合しなかった。PorXはC末端部分にPglZドメインを有し、実際に弱いホスファターゼ活性を示した。TCSTSとともに外界に反応して遺伝子転写を調節するECFシグマ因子の一つPGNO274遺伝子変異株も、分泌装置遺伝子の転写が抑制され、ジンジパイン分泌障害を示すことがわかった。Tiling arrayにて網羅的に遺伝子発現を調べたところ、調節を受ける遺伝子はporX変異株とは完全には一致しなかった。また、PorX-YシステムとPGNO274遺伝子を両方欠損させると、相加的に分泌装置タンパク質の転写が抑制されたことから、これらは別の経路として存在し、本菌の病原因子分泌を巧みに調節していることを示唆している。
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