2011 Fiscal Year Annual Research Report
生殖内分泌制御系を介した新規分子の骨代謝制御への関わり
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21592365
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松田 美穂 九州大学, 歯学研究院, 助教 (40291520)
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Keywords | 骨代謝 / 骨密度 / PRIP / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / ホルモン |
Research Abstract |
骨代謝制御における新規分子PRIPの役割解明を目的として,今年度は以下の解析を行った。 ・野生型及びPRIP-KOマウスの頭蓋冠から調製した骨芽細胞前駆細胞に、BMP刺激を加え骨芽細胞への分化における両者の違いを検討した。PRIP-KOマウスでは分化した骨芽細胞の数が多く、アルカリホスファターゼ(ALP)活性も高く、また骨形成速度が亢進していることが分かった。 ・PRIP-KOマウスでは骨芽細胞の分化能が高いことが予想されたので、骨芽細胞分化・骨形成に重要な転写因子Smadのリン酸化レベルを計時的に追ったところ、リン酸化の延長が認められた。また、オステオカルシンやId1などの骨形成関連因子の発現を見たところ、いずれもPRIP-KOマウスで発現量が亢進していた。 ・マウス大腿骨の組織学的解析および初代培養細胞を用いた生化学的解析から、破骨細胞の細胞数もやや多い傾向にあり、酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(TRAP)活性も相応の値であったが、通常より核数の多い大きな破骨細胞が認められた。 ・破骨細胞の初代培養を用いたpit assayでは、野生型に比べPRIP-KOマウスでは分化した破骨細胞数はやや多いくらいであったが、破骨細胞の吸収窩は野生型の半分以下であった。また、破骨細胞機能に重要なアクチンリングのサイズが小さく数も少なかった。 破骨細胞分化に重要なOPGの発現は減少している一方、RANKLの発現は増加していた。 これらのことから、PRIP-KOマウスでは、骨芽細胞への分化が促進しているために骨形成が亢進している一方、正常な機能を有する破骨細胞が少ないために骨吸収が低下しており、結果として骨量増加に至るものと考えられた。つまり、PRIPは骨形成に抑制的に働く分子であると結論した。
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Research Products
(8 results)