2009 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原菌が産生するタンパク質分解酵素ジンジパインによる骨吸収メカニズムの解明
Project/Area Number |
21592372
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
宮本 洋一 Showa University, 歯学部, 准教授 (20295132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高見 正道 昭和大学, 歯学部, 講師 (80307058)
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Keywords | 歯周病 / ジンジパイン / 破骨細胞 / 分化 |
Research Abstract |
歯周病に伴う歯槽骨吸収における歯周病原菌Porphyromonas gingivalisの役割を明らかにすることを目的として研究を行っている。我々は、同菌が産生するタンパク分解酵素gingipainsが生理的な骨吸収因子である活性型vitamin Dによる破骨細胞分化誘導を強力に促進することを発見した。そこで本年度は、細菌リポ多糖を始めとする各種菌体成分による破骨細胞分化誘導におけるgingipainsの役割を解析した。その結果、gingipainsの中でも、特にLysine特異的gingipain(Kgp)が大腸菌LPS、P. gingivalis LPS、CpG DNA、peptidoglycan、poly(I:C)RNAなどの各種Toll様受容体(TLR)リガンドによる破骨細胞分化誘導を強力に促進することを発見した。このことは、各種細菌が混合感染している歯周病に伴う歯槽骨破壊にKgpが重要な役割を果たしていることを示唆する。さらに、Kgpの破骨細胞分化促進作用が、骨芽細胞が産生する破骨細胞分化抑制因子であるosteoprotegerin (OPG)の分解に依存していることをOPG遺伝子欠損マウスの骨芽細胞を用いて証明した。これらの活性は、血清α_2-macroglobulinによって阻害されるArginine特異的gingipain (Rgp)には認められなかった。さらに、各種TLRリガンド等の刺激で誘導される炎症性サイトカインによる破骨細胞分化誘導に対するKgpおよびRgpの効果を解析したところ、KgpはIL-1βおよびTNFαによる破骨細胞分化を強力に促進することが明らかとなった。一方、IL-17による破骨細胞分化誘導に対しては、Kgpによる促進は認められなかった。これらのサイトカインによるKgpの作用の違いは、Kgpによる分解に対するサイトカインの抵抗性の違いを反映していることが示唆された。一方、Rgpは炎症性サイトカインによる破骨細胞分化にまったく影響を及ぼさなかった。以上の結果は、Kgpが歯周病性歯槽骨破壊予防を目指す上で重要を標的となることを示唆している。
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Research Products
(16 results)