2009 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺における傍細胞系水輸送のリン酸化・脱リン酸化制御
Project/Area Number |
21592375
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
杉谷 博士 Nihon University, 松戸歯学部, 教授 (20050114)
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Keywords | 顎下腺 / 水分泌 / ニューロキニンA / ピロカルピン / 傍細胞輸送 / 細胞内カルシウム |
Research Abstract |
唾液腺における水やイオン分泌には、腺房細胞の基底側から腺腔側への細胞を経由する経細胞輸送系と、細胞間を経由する傍細胞輸送系が関わっている。本研究は、ラット顎下腺灌流標本を用いて、傍細胞輸送の調節を明らかにすることが目的である。本年度は、ラット顎下腺灌流標本における傍細胞輸送系の関与を検討した。ラット顎下腺灌流標本を作成し、神経伝達物質であるニューロキニンA(NKA)と口腔乾燥症治療に用いられるピロカルピンによる水分泌を測定した。NKAは用量依存的に水分泌を促進したが、灌流液からカルシウムイオン(Ca^<2+>)を除くと水分泌は低下し、またCa^<2+>を戻すことにより分泌が回復することから、Ca^<2+>依存性の分泌であることが確認された。灌流液に細胞膜非透過性のルシファーイエロー(LY)を加えたところNKA刺激に伴ってLYが分泌液中に検出されたことから、NKAによる水分泌に傍細胞輸送も関わることが明らかとなった。ピロカルピン刺激では、NKAと同様に用量依存的な水分泌が惹起されたが、NKAと比較してピーク値に達する時間が遅く、また、刺激を中止した後のコントロールレベルへの戻りも遅いことから、ピロカルピンの効果は遅延的なものと考えられた。さらに、高濃度のピロカルピンによる水分泌は、刺激後に刺激中よりも増加することが認められ、この増幅現象はムスカリン性受容体アンタゴニストにより抑制されること、また灌流液からCa^<2+>を除くことにより抑制されることから受容体活性化やCa^<2+>動態に関与することが示唆された。ピロカルピンによるLYの分泌は、水分泌と一致して起こることから、この機序にも傍細胞輸送の制御が関わることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)