2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞接着分子による味覚の神経回路形成と摂食行動様式の制御機構
Project/Area Number |
21592376
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
近藤 真啓 Nihon University, 歯学部, 専任講師 (50312294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 郁子 日本大学, 歯学部, 助教 (60459906)
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Keywords | Ig受容体 / 神経回路形成 / 選択的スプライシング / 細胞接着分子 |
Research Abstract |
感覚神経細胞-中枢神経間の適切な神経回路の形成は,生物が外来情報に適応した行動を選択するための機能基盤である。これまでに我々は,Igスーパーファミリーに属する細胞接着分子Dscamが感覚神経細胞の配線特異性を決めるために必要であることを明らかにしてきた。そこで,Dscamによる神経配線の制御が行動様式に与える影響について,味覚神経回路と摂食行動の連関をモデルに検証を開始し,当該年度は以下の成果をあげた。 1.甘味または苦味受容細胞に特異的なGa14ドライバーを用いてCD8:GFPまたはsyb:GFP(シナプスマーカー)を味受容細胞に発現させ,味質特異的な神経回路とそのシナプス局在を解析した。甘味および苦味受容細胞はいずれも食道下神経節へ直接投射しているが,神経節内の異なる部位にシナプスを形成していることが明らかとなった。 2.二味質弁別法を用いて,ショウジョウバエの味嗜好性について検討した。野生型では,トレハロースとカフェイン(または水)の二試料を提示するとトレハロースに対して強い嗜好性を示すこと,また,トレハロースの濃度が20mM以上であれば水と弁別できることが明らかとなった。次に,RNA干渉法とUAS-Ga14システムの併用により,甘味受容細胞で特異的にDscamの発現を減少させたトランスジェニック動物を作製し,摂食行動解析をおこなった。野生型と比較して味嗜好性に有意な変化は認められなかったが,摂食量が減少し,個体の成長が著しく阻害されることが明らかになった。一方,苦味受容細胞で特異的にDscamの発現を減少させると,苦味・甘味物質の混合液に対する選択性が野生型と比べて有意に増加した。以上の結果は,味受容細胞におけるDscamの発現が甘味物質に対する摂食誘導,および苦味物質に対する忌避性の形成に必要であることを示している。
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Research Products
(4 results)