2010 Fiscal Year Annual Research Report
三叉神経節ニューロンの興奮性に対するグリア細胞由来神経栄養因子の役割
Project/Area Number |
21592377
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
武田 守 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (20227036)
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Keywords | 生理学 / 脳、神経 / 三叉神経節 / 痛覚 / 神経栄養因子 / パラクリン / パッチクランプ / GDNF |
Research Abstract |
今年度は、三叉神経系の疼痛伝達に関わる三叉神経節ニューロンの興奮性に対するGlial cell line-derived neurotrophic factor(GDNF)の生理的役割を明らかとするために、三叉神経節ニューロンの興奮性がGDNF投与により、どのように変調するか否かをIn vitroで電気生理学的に解析を行った。蛍光色素(Fluorogold:FG)を麻酔したラットの顔面皮膚に注入し、この部位を支配する三叉神経節ニューロンを逆向性標識した。昨年度の研究よりGDNF,GDNF受容体(GFRα1)の発現は小型-中型のTRGニューロンにおいて観察され、小型TRGニューロンのほとんどは両者を発現することが判明したので、急性分離したFG陽性小型-中型TRGニューロンの興奮性に対するGDNFの急性投与の効果を、穿孔ホールセルパッチクランプ法により電気生理学的に解析した。ボルテージクランプ下において、小型TRGニューロンの電位依存性)外向きK電流(IA,IK)はGDNF投与により抑制され、この効果は濃度依存性でありprotein tyrosine kinase inhibitor,K252bの投与により拮抗された。一方、カレントクランプ下において、Tetrodotoxin(TTX)抵抗性スパイクの閾膜電位は減少し、またスパイク持続時間は延長を伴う発火頻度の増加を示した。この効果もK252bにより拮抗された。これらの結果は顔面皮膚領域を支配する小型TRGニューロンの興奮性にGDNFの急性投与はtyrosine kinase系を介したK電流抑制によりそれを増強する役割を果たすことを示しており、正常状態において、侵害受容性TRGニューロンの細胞体または神経末端から分泌されるGDNFによりその興奮性が制御される可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)