2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21592378
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
山下 照仁 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (90302893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 直之 松本歯科大学, 大学院・歯学独立研究科, 教授 (90119222)
二宮 禎 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (00360222)
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Keywords | 破骨細胞 / 抗癌剤 / 骨吸収 |
Research Abstract |
破骨細胞の分化抑制と骨吸収抑制を示した阻害薬アクチゲニンを用いて、破骨細胞における作用機構および標的因子の探索、動物モデルを用いた骨代謝への関与を検討し、以下の成果を得た。 1. 骨吸収機能に対するアクチゲニンの作用機構の解析:アクチゲニンは1μMの濃度で骨吸収窩形成を強く阻害した。更に、0.1μMの低濃度でも有意に骨吸収窩形成を阻害した。骨吸収を行なっている破骨細胞ではアクチンのリング状の形態が観察されることより、アクチンリングの破壊が起こっているか否かを更に検討したところ、1μMのアクチゲニンの添加によってもアクチンリングは存在していた。一方、骨吸収抑制を示すカルシトニンの添加では速やかなアクチンリングの消失が見られた。 2. アクチゲニンに結合する因子の同定:HAタグを融合したNFATc1蛋白質の発現系の作成を行ない、骨髄マクロファージで発現を確認した。今後免疫沈降を行なって、アクチゲニン添加による複合因子の形成阻害を検討する。 3. 卵巣摘出による骨吸収モデルにおける、アクチゲニンの骨吸収抑制作用の解析:卵巣摘出を行なうことによって閉経後骨減少を示すマウスモデルを作成した。抗癌作用を示した投与量50μg/マウスで、卵巣摘出後4週間毎日アクチゲニンを腹腔内に投与した。1週間ごとに動物用マイクロCTで長管骨の骨量を測定した。その結果、卵巣摘除+アルクチゲニン投与群の骨量は卵巣摘除+Vehicle群と同様に減少した。また、脊椎骨の組織切片を作成しTRAP染色した結果、アルクチゲニン投与群にも破骨細胞は存在し、細胞数に有意差が認められなかった。以上より、卵巣摘除モデルでは、骨吸収抑制を示さなかった。 本年度の成果により、アクチゲニンが破骨細胞のアクチンリング形成を阻害しないことから、骨基質分解酵素やプロトン分泌などの機能に対する抑制作用が示唆された。
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Research Products
(3 results)