2011 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌に対する特異的かつ至適な血管新生阻害療法の確立
Project/Area Number |
21592397
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
小林 正伸 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (80241321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永易 裕樹 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90265075)
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Keywords | 低酸素 / 遺伝子発現 / アドレノメジュリン / アドレノメジュリン阻害 / 血管新生 |
Research Abstract |
低酸素環境下で発現亢進してくる遺伝子を網羅的に探索し、低酸素環境下での口腔癌細胞の生存と増殖を可能にしている遺伝子の同定を試みた。DNA microarray法にて、1%酸素濃度の低酸素環境下で培養した口腔癌細胞からRMAを抽出して、正常酸素分圧化で培養した細胞のRNAと比較した。その結果、アドレノメジュリン遺伝子の発現が亢進していた。アドレノメジュリンは52個のアミノ酸からなるペプチドで、血管内皮細胞の増殖を刺激することが既に報告されている分子であった。アドレノメジュリン阻害ペプチドがアドレノメジュリンの血管内皮細胞増殖効果を抑制すること、血管内皮細胞増殖抑制を介して膵癌細胞の生体内増殖を抑制することを見いだしていたので、口腔がん細胞の生体内増殖に対する効果を検討した。まず、アドレノメジュリン阻害ペプチド発現ベクターを構築して口腔がん細胞に導入したところ、アドレノメジュリン阻害ペプチド発現ベクター導入口腔がん細胞の生体内増殖は抑制された。この抑制効果のメカニズムを確認するために、口腔がん細胞移植マウスから腫瘍組織特異的血管内皮細胞株を樹立した,腫瘍組織特異的血管内皮細胞株はアドレノメジュリンの存在下で増殖が刺激され、アドレノメジュリン阻害ペプチドによって抑制された。さらに、腫瘍組織特異的血管内皮細胞株の遊走が刺激され、アドレノメジュリン阻害ペプチドによって遊走が阻害された。これらの結果は、アドレノメジュリンが低酸素環境下で産生されて血管内皮細胞の遊走と増殖が刺激され、血管新生がおこることを示唆し、アドレノメジュリンによって刺激される血管新生が、アドレノメジュリン阻害ペプチドによって抑制されることを示唆する。
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Research Products
(1 results)