2009 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌細胞の悪性形質発現におけるSPARCの役割
Project/Area Number |
21592403
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
加藤 靖正 Kanagawa Dental College, 歯学部, 准教授 (50214408)
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Keywords | SPARC / オステオネクチン / ノックアウトマウス / 転移 / 浸潤 / 口腔扁上皮癌 |
Research Abstract |
SPARCは、オステオネクチンとしても知られる糖タンパク質である。当初、骨基質特異的として考えられてきたが、種々の組織においても発現が報告されている。これまでに私たちは、SPARCが腎癌悪性化に関与すること、VEGFの刺激により血管内皮細胞からのSPARC合成が促進されること、腎癌細胞の遊走性を促進することなどを見出し報告してきた。さらに転移性メラノーマでの発現が高いこと、また、stage IIの舌癌患者におけるSPARC発現症例での5年生存率が短いことなども見出している。本研究では、舌癌を中心とした口腔扁平上皮癌細胞を標的細胞として、宿主のSPARCが浸潤や転移などの悪性形質にどのように関与するかについて検討を行うために、マウス口腔扁平上皮癌細胞株であるNRS1細胞の移植系の確立を行った。すなわち、MF1系統のSPARCノックアウトマウスをワイルドタイプのC3Hメスと交配させ、SPARC+/-を作成し、これに新しいワイルドタイプと交配を繰り返し、99.8%C3HとなったSPARCノックアウトマウスを作成した。SPARCホモノックアウトのC3Hを作成するべく交配を行ったが、21年度中には間に合わなかった。そこで、genotypingでワイルドと判定された99.8%C3Hマウスに対して、NRS1細胞の移植性を確認したところ、高率に生着することを確認した。また、NRS1細胞をフットパットに移植すると鼠径部や肺への転移結節を認めた。しかしながら、結節数は、マウスの個体差が大きく、転移したC3Hの戻し培養によるpopulationの均一化が、実験データの安定化には不可欠と考えられた。また、これと平行してNRS1細胞のSPARC発現をノックダウンした細胞株の作成をかこなった。 一方、SPARCノックアウトマウスでのphenotypeとして、C57B16でのSPARCノックアウトマウスに見られる尾の変形は、ヘテロでの観察であるが見られなかった。当初の計画よりやや遅れているが、2年度は、SPARCノックアウトマウスとNRS1細胞を用いて、浸潤活性や転移活性などの評価を行う予定である。
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Research Products
(4 results)