2009 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜免疫疾患におけるエフェクター細胞の上皮指向性機序の解明
Project/Area Number |
21592406
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
大野 純 Fukuoka Dental College, 歯学部, 講師 (10152208)
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Keywords | 口腔粘膜疾患 / 上皮指向性 / サイトカイン / ケモカイン / リンパ球 / satellitosis / CD8 / エフェクター細胞 |
Research Abstract |
H21年度は、satellitosis型口腔粘膜疾患モデルでの解析を中心に行った。1)satellitosis型モデルの作製および妥当性:P→F1セミアロ移植系を応用してモデルを作製した。モデルとしての妥当性は、経日的に採取した舌粘膜の病理組織学的所見により検討した。モデル作製10日以降に、リンパ球の上皮内浸潤がみられた。さらに、12日以降では、上皮内浸潤リンパ球数は増加し、それに伴い上皮組織の壊死および脱落などの上皮破壊が著明となった。以上の所見より、同モデルはsatellitosis型として妥当であると判断した。2)エフェクター細胞の性状:satellitosis型における上皮内浸潤リンパ球のサブタイプは、CD8陽性T細胞であることを免疫組織化学的に明らかにした。3)エフェクター細胞の上皮指向性に関するファクターの検討:経日的なモデルの免疫組織化学的検索から、エフェクター細胞の浸潤は、病変が進行してから著明となることが明らかとなった。すなわち、病変の初期には、エフェクター細胞の上皮指向性に関与する環境が準備されている可能性が考えられた。そこで、病変部上皮細胞(KC)でのICAM-1発現を検討した。KC-ICAM-1発現が初期病変の特徴であることが明らかとなった。4)エフェクター細胞の上皮指向性に対するKC-ICAM-1発現の意義:(1)KC-ICAM-1発現は病変部のインターフェロン・ガンマ(IFN-γ)産生により誘導される(RT-PCR法によるIFN-γ mRNA発現)、(2)病変部KCでは、IFN-γ mRNA発現に一致してIFN-γレセプターが発現している、(3)Stamper-Woodruff binding assayにより、病変上皮はCD8陽性リンパ球と接着する、(4)リンパ球と病変上皮組織の接着は、抗ICAM-1抗体および抗LFA-1抗体の前処理により阻害される、との結果が得られた。以上の結果から、CD8陽性エフェクター細胞の上皮組織への浸潤は、ICAM-1/LFA-1接着経路の一部を利用していることが明らかとなった。
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