2010 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜免疫疾患におけるエフェクター細胞の上皮指向性機序の解明
Project/Area Number |
21592406
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
大野 純 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (10152208)
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Keywords | 口腔粘膜疾患 / 上皮指向性 / サイトカイン / ケモカイン / リンパ球 / satellitosis / CD8 / エフェクター細胞 |
Research Abstract |
H22年度は、1)satellitosis型口腔粘膜病変モデルにおけるエフェクター細胞と上皮細胞との相互作用を、"Induction of epithelial migration of lymphocytes by intercellular adhesion molecule-1 in a rat model of oral mucosal graft-versus-host disease"として論文発表(Histol Histopathol 26:725-733,2011)、2)扁平苔癬型口腔粘膜病変モデルの解析を行った。扁平苔癬型口腔粘膜病変は、(1)水銀病投与による自己免疫疾患モデルと(2)P→F1慢性移植片対宿主病(cGVHD)モデルの2種類を作製して検索した。口腔粘膜病変の特徴は、(1)および(2)型モデルともに類似していた。病変は、(1)class II陽性細胞とED1陽性マクロファージの浸潤、(2)粘膜上皮基底膜でのIgG,C3沈着および(3)病変部でのIL-4mRNA発現であった。まず、病変部での浸潤細胞に関しては、Class II陽性およびED1陽性マクロファージが粘膜上皮直下の結合組織に浸潤を認めた。病変の進行と伴に、上皮基底膜に付着するように浸潤細胞が増加した。しかしながら、上皮層内への浸潤傾向は認めなかった。さらに、class IIは上皮ケラチノサイトにおいては発現を認めなかった。また、CD8陽性T細胞は、Class II陽性およびED1陽性マクロファージの浸潤が著しい病変進行期に、上皮直下の結合組織に限局性に浸潤する傾向がみられた。粘膜上皮基底膜へのIgG,C3沈着は、病変が進行して細胞浸潤が著明となる時期に明らかとなった。同様に、進行期になると病変部でのIL-4発現が顕著となった。以上の結果から、同モデルにおける口腔粘膜病変はTh2型免疫反応を反映していることが示唆された。
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