2011 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜疾患におけるエフェクター細胞の上皮指向性機序の解明
Project/Area Number |
21592406
|
Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
大野 純 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (10152208)
|
Keywords | 口腔粘膜疾患 / 上皮指向性 / サイトカイン / ケモカイン / エフェクター細胞 / satellitosis / lupus型粘膜炎 / CD8陽性T細胞 |
Research Abstract |
H23年度は、H22年度からの引き続きで扁平苔癬型口腔粘膜病変モデルの解析を行った。扁平苔癬型口腔粘膜病変は、(1)水銀病投与による自己免疫疾患モデルと(2)P→F1慢性移植片対宿主病(cGVHD)モデルの2種類を作製して検索した。(1)および(2)型モデルともに自己免疫性病変であることが明らかとなった。自己抗体は上皮基底膜に沈着し、抗核抗体の産生も認めた。すなわち、病変としてはLupusタイプの自己免疫型免膜疾患である可能性が示唆された。病変発症に関連するエフェクター細胞は、class II陽性細胞とED1陽性マクロファージが、粘膜上皮基底膜でのIgG,C3沈着に伴い、上皮下結合組織に浸潤した。しかしながら、satellitosis型粘膜病変のエフェクター細胞であるCD8陽性細胞の浸潤態度は軽微であった。また、病変部でのサイトカイン発現は、IL-4mRNA発現が特徴的であった。Satellitosis型では、粘膜上皮ケラチノサイト(KC)でのICAM-1発現が特徴であったが、扁平苔癬型病変においては、同分子のKC発現は認めなかった。この結果は、扁平苔癬型病変部でのサイトカイン組織発現がIL-4を主体とするTh2型免疫応答に関連するものと考えた。実際に、病変組織においてはKCでのICAM-1発現を誘導するインターフェロン・ガンマ(IFN-g)mRNA発現は認めなかった。 以上の結果から、satellitosis型病変と扁平苔癬型病変は、両者ともにT細胞関連免疫応答により発症するものではあるが、エフェクター細胞および進行に関与する免疫応答に違いがあることが明らかとなった。すなわち、これらのエフェクター細胞は上皮指向性は有するが、satellitosis型ではCD8陽性細胞傷害性T細胞であり、扁平苔癬型病変ではclass II陽性細胞およびED1陽性マクロファージであった。両病変でのエフェクター細胞の違いは、病変発症・進行に関与する免疫応答の違いによるものと推測された。
|