2009 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄専用血流計を試作し、歯髄血流パラメーターに基づく無痛歯髄診査法を開発する
Project/Area Number |
21592410
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井川 資英 Tohoku University, 病院, 助教 (80176065)
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Keywords | 歯髄 / 血流 / ヒト / レーザードップラー / 診断 |
Research Abstract |
通常のレーザードップラー血流計はほぼすべての器官を対象として血流測定を行うことを目的としている。そのため、ドップラー効果によって生じる周波数変動の帯域は20Hz-20KHz程度に設定され、血流の測定レンジ上限は100mL/min/100g程度に調整されてる。一方、歯髄のような超低速血流が想像される組織では、通常の血流計を用いた場合、対象とする周波数帯域は相当程度低いレベルに多く含まれているものと想像される。従って通常の機器を用いて測定した場合、検出感度が低くSN比も満足できるレベルではない。 本研究は、ヒト歯髄血流を高い精度で測定できる歯髄専用血流計を試作して、血流パラメータ(流速と流量)にもとづく無痛歯髄診査法を開発しようとするものである。研究実施計画に沿い、本年度は周波数帯域の上限を通常のものより低いレベルに設定した歯髄専用レーザードップラー血流計を試作しその有効性を検証した。 測定対象としたのは30-50代の健康な成人の生活上顎中切歯であった。通常のレーザードップラー血流計と試作歯髄専用血流計を用いて、同じ歯を対象として歯面の同じ部位で測定を行い得られた信号を比較した。測定に先立ち、歯学研究科研究倫理専門委員会から研究計画の承認を得て、社会的コンセンサスを実施前に得た。 その結果、流速を表示する出力信号は、従来の機器では0.02V程度であったのに対し試作機器では0.4V程度のものが得られた。流量に関しては、同様に0.005Vに対し0.14Vと高いレベルでの信号検出が可能であった。 これらの結果から試作機器は低流速の歯髄血流検出感度の向上に有効であると考察された。
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