2009 Fiscal Year Annual Research Report
歯科騒音低減デバイスの開発を目指した骨伝播波動計測モデルによる骨導特性の解明
Project/Area Number |
21592418
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 朋美 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 助教 (70452448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
恵比須 繁之 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50116000)
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Keywords | 歯科切削音 / 骨導 / 高周波 |
Research Abstract |
歯科治療時における切削音に豊富な超高周波が含まれている現状から,歯から伝達する超高周波の骨導における特性および感覚閾値を解明することが,骨導に対応した効果的な騒音低減デバイスの開発に必要不可欠な課題である。本研究において本年度は,歯科切削音からの超高周波の気導音について年齢による超高周波の聞こえの差異,閾値を把握することを目的として以下の実験をおこなった。 (1) 年齢差による高周波の聞こえの差異の検討:ボランティアを対象に,純音正弦波信号をスピーカーにて呈示し,知覚の可否に関するデータ収集を行った。その結果、従来の聴力検査上限である8kHzを超えた周波数帯域においても年齢による差が認められた。 (2) NIRSを用いた高周波聴取時の脳活動計測:ボランティアを対象に歯科切削音における高周波成分の聴取時の脳活動計測を行った。多チャンネル近赤外線スペクトロスコピィ(NIRS)は、近赤外線の光透過性を利用して脳血流における酸素化ヘモグロビン濃度を測定する医療承認をうけた装置であり、安全かつ非侵襲、簡便に用いることができる装置である。本研究は大阪大学歯学研究科の倫理審査委員会の承認を受けて実施している。計測の結果、高周波は若年者には音として認知でき、かつ酸素化ヘモグロビン濃度が聴取と同時に減少したのちに増加する傾向があることがわかった。可聴域上限と言われている20kHzまでの高周波が、18歳以下の若年者においては音として知覚できることを生理学的に確認した。また、脳活動部位は聴覚野である側頭野と前頭前野の局所的な部位に認められ、これらの部位が知覚と認知に大きく関わっている可能性が示唆された。 今年度の結果をふまえ次年度も継続して研究を進めていく予定である。
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