2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト骨髄間葉系幹細胞を用いた象牙質・エナメル質複合体の再生に関する研究
Project/Area Number |
21592420
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
伊澤 俊次 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20273998)
|
Keywords | ヒト骨髄間葉系幹細胞 / 象牙質・エナメル質複合体の生成 / 全能性賦活因子 / 組織環境 |
Research Abstract |
ヒト骨髄間葉系幹細胞を用いた象牙質・エナメル質複合体の再生を研究目的に,う蝕などで失われたエナメル質や象牙質の再生だけでなく、歯の再生まで構想に含めて全体の研究実験計画を樹立した。 前年度から引き続き象牙質外側にエナメル芽細胞分化・およびエナメルの再生のためのサイトカインの検索実験を行い、その成果に基づき、各種スキャホールドを用い、長期にわたる象牙質・エナメル質複合体再生実験を行った。スキャホールドの選択においては歯の外形形態を与えることに留意し、賦形性のある37℃でゲル状態を保つことが出来る低融点アガロースゲル等を用い、シリコーン鋳型に流してスキャホールドを作成し歯の形態を誘導できる象牙質・エナメル質複合体の再生実験を行った。結果は、予測したような形態は誘導できなかった。そこで、基本に立ち戻り、細胞の分化メカニズムを検証し、次段階の研究構想の樹立を図るために、ヒト骨髄間葉系幹細胞の全能性を、分化細胞との遺伝子発現の比較分析を行うことにより同定するための実験を行った。その結果、全能性細胞群と分化細胞群では遺伝子発現の明らかな差は認めなかった。これは基本的な全能性は分化が進んでも保たれることを意味している。そして、失われた組織の再生には、全能性を賦活させるための因子(細胞、転写因子、足場、培地)が改めて重要であることを認識した。これまでに行ってきたin vitro実験では、歯の形態生成構築(象牙質エナメル質複合体の生成)を行うためには、組織環境的限界があり、次年度は歯胚の組織環境をシミュレートしたin vivo実験も併行して行っていく予定である。また、足場として酵素硬化型ゼラチンを用いてさらに研究を進めてゆく予定である。
|
Research Products
(1 results)