2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト骨髄間葉系幹細胞を用いた象牙質・エナメル質複合体の再生に関する研究
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21592420
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
伊澤 俊次 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20273998)
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Keywords | ヒト骨髄間葉系幹細胞 / TNFα / ファクトリー仮説 / 全能性賦活因子 |
Research Abstract |
ヒト骨髄間葉系幹細胞を用いた象牙質・エナメル質複合体の再生を研究目的に,う蝕などで失われたエナメル質や象牙質の再生だけでなく、歯の再生まで構想に含めて全体の研究実験計画を樹立した。 齲蝕による歯質欠損治療において,機能および審美性保持には再生治療が最良の方法と考えられる.我々はこれまで,ヒト骨髄間葉系幹細胞が適切な分化因子(エムドゲインゲルとTNF-α)によって象牙芽細胞に分化し,適切なスキャフォールドを用いることにより象牙質生成の可能性を示唆した. 前年度に引き続き基本に立ち戻り、細胞の分化メカニズムを検証し、次段階の研究構想の樹立を図るために、ヒト骨髄間葉系幹細胞の全能性を、分化細胞との遺伝子発現の比較分析を行うことにより同定するための実験を行い、基本的な全能性は分化が進んでも保たれることを再確認した。そして、失われた組織の再生には、全能性を賦活させるための因子(細胞、転写因子、足場、培地)が改めて重要であることを認識した。一方、これまでに行ってきたin vitro実験では、歯の形態生成構i築(象牙質エナメル質複合体の生成)を行うためには、組織環境的限界があることを認識した。 さらに昨年ヒト骨髄間葉系幹細胞の全能性は分化が進んでも保たれることを発表したが,組織の再生には,全能性賦活因子が重要であることを認識した.そこで本研究では,組織化されたPol IIが活性化された遺伝子を取り込んで転写を行うという"ファクトリー仮説"が脚光を浴びるきっかけとなった代表的慢性炎症刺激であるTNFαに着目し,その全能性賦活能の検証を行った.その結果、TNFα(+)群では,Lhx6の発現を認めたが,TNFα(-)群ではLhx6の発現を認めなかった.これより,ヒト骨髄間葉系幹細胞が多様な組織に分化するためには,全能性賦活因子としてのTNFαが必要であることが示唆された.
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Research Products
(1 results)