2009 Fiscal Year Annual Research Report
迅速大量増幅に基づく多能性幹細胞利用による画期的な硬組織再生治療の臨床展開
Project/Area Number |
21592427
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
池田 毅 Nagasaki University, 病院, 講師 (90244079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 志津香 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (00363458)
松永 常典 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10380924)
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Keywords | キトサン / 再生医療 / 足場材 / FCP / 天然高分子 / 多孔性 / 徐放性 / 生物学的初期石灰化 |
Research Abstract |
組織内で細胞の増殖と分化誘導を行い、正常組織や臓器を再生させる治療の試みが再生医療である。それには増殖と分化に適した場を構築することが重要であり、この再生の場の構築には細胞の足場ならびに細胞増殖因子などの活用が不可欠である。特に、足場は酸素や栄養分を供給する脈管系の誘導や細胞増殖のため、空間確保ならびに細胞群の三次元配列の再構成といった非常に重要な役割が求められている。そこで、硬組織再生を目指した細胞の足場材として、キトサンから作製した多孔性担体へ細胞増殖因子を添加した場合の徐放性について検討を行い、また現有するヒト骨芽細胞を用いて、FCP(Fish collagen peptide)による培養骨芽細胞へ与える影響についても検討を加えた。 足場材の徐放性については、1%キトサン群では浸漬後1週間経過時に約80%が放出され、2%群では2週間経過時に70%が放出され、4%群では2週間経過時に50%が放出され、その後も持続的に遊離された。このことよりキトサン濃度が大きくなるにしたがい徐放性が継続される傾向となったが、これはキトサン分子に固定される増殖因子が増加した結果、静電気的効果により遊離する時間が延長されたものと示唆された。またFCPによる細胞への影響については、培養初期において骨芽細胞の形態に相違はみられなかったが、コントロール群と比較して、FCP群の有意な細胞増殖を認めたり、石灰化関連タンパクであるALPの他にOsteocalcin、Osteopontin、BMP-2、細胞接着に関連するIntegrinβのmRNAならびにタンパクの発現の増強が確認できた。すなわちFCPによる骨芽細胞への作用として、生物学的初期石灰化亢進効果を担持することが示唆された。以上のことからウシなどの動物性コラーゲンと同様に、ヒト骨芽細胞の増殖や分化を促進する効果を有する天然機能性素材であると考察された。
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Research Products
(1 results)