2010 Fiscal Year Annual Research Report
漂白剤の有機質分解能を利用した審美的エナメル質再石灰化療法の開発
Project/Area Number |
21592436
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
向井 義晴 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (40247317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺中 敏夫 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (60104460)
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Keywords | エナメル質 / 再石灰化 / 漂白 / ホワイトニング / 表層下脱灰病巣 / 唾液タンパク質 |
Research Abstract |
エナメル質表層下病巣を形成する表層はイオンの通過のみ可能な層であると考えられているが,微視的にはサブミクロンレベルの孔や裂溝が存在し,病巣体部には蛋白質等の有機物が侵入している.しかしながら,従来の再石灰化療法は病巣内の有機質除去には注意を払わず,ブラッシングの励行とフッ化物の使用および唾液中の無機イオンに依存して行われてきた.本研究において効率的かつ審美的な再石灰化誘導の手段としてオフィスブリーチング剤を利用することが有効であると確認できれば,初期齲蝕マネージメントの一手法として臨床的に広く活用されると考えられる. 平成22年度において,オフィスブリーチングに用いるハイライト(松風)はエナメル質表層下病巣に適用しても病巣を進行させないことを観察し,エナメル質表層下病巣にハイライトを使用することの安全性を確認した(日本歯科保存学会2010年度秋季学術大会および神奈川歯科大学学会第45回総会にて発表,ならびに日本歯科保存学雑誌53(6),p579-584,2010に論文掲載).また,in vitroで作製したエナメル質表層下脱灰病巣にカゼインを浸透させ,オフィスブリーチング剤を作用させることによる有機質分解ならびに再石灰化誘導への有用性を検討したところ,カゼインが病巣体部にまで浸透し再石灰化抑制に働いたと同時にその後のハイライト処理が再石灰化を助長する可能性が示唆された(日本歯科保存学会2010年度秋季学術大会および神奈川歯科大学学会第45回総会にて発表)が,より効果的な手法を確立するためにハイライトの使用回数,処理時間の検討を23年度に行うことを検討している。さらに,表層下脱灰病巣体部に侵入していると考えられる唾液タンパク質とブリーチング剤との反応は不明であるため,比較的簡便に採取可能である安静時唾液を採取し,オフィスブリーチング剤処理を模した条件下で30%過酸化水素水を作用させることによる唾液タンパク質の変化を検討していく予定である.
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