2009 Fiscal Year Annual Research Report
インプラント周囲炎の早期診断ならびに新規治療法の開発
Project/Area Number |
21592451
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山崎 聖也 Okayama University, 大学病院, 医員 (40444666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪木 拓男 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00225195)
荒川 光 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30304314)
小野 剛 岡山大学, 大学病院, 医員 (80457225)
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Keywords | 口腔インプラント治療 / インプラント周囲炎 / 多変量解析 / 生存分析 |
Research Abstract |
本研究の目的はインプラント周囲の炎症を未然に察知するためにインプラント周囲の炎症性歯肉を採取し特異的な生物学的マーカーを同定することである.まず最初に,当科で口腔インプラント治療を行った患者の中でどれだけの患者がインプラント周囲炎によりインプラントを喪失しているのかを把握する目的で,これまでに当院で口腔インプラント治療を行った患者のデータベースの整理を行った.過去17年間に当科にて口腔インプラント治療を行った全患者393人に対し埋入したインプラント体は1062本であった.これらの1本1本について追跡調査をおこないインプラント周囲炎の発症頻度ならびにインプラント周囲に炎症を引き起こすリスクファクターについて調査した.さらに,インプラント周囲に特異的に炎症が起こるのか,隣在歯にも同様の炎症がおこるのかを確認するためにインプラントの隣在歯とブリッジの支台歯に起こる炎症によるトラブルの比較をおこなった. 《方法》 1. 1990年2月から2007年3月までの間に当科にて口腔インプラント治療を受けた全患者393人1062本の中でオッセオインテグレーションが獲得されたものが721本であった.これらのインプラント体を対象に多変量解析による生存分析をおこなった. 2. 少数歯の中間欠損患者に対して,べースラインを揃えたインプラント群とブリッジ群を選別し,欠損の隣在歯におこるに炎症に起因するトラブルの発生を生存分析を用いて比較した. 《結果》 1. インプラント体の10年累積生存率は94%であり,インプラント体周囲の炎症により10本のインプラント体が除去に至っていた.そしてインプラント体が除去に至るリスク要因は上部構造が術者可撤式である事と喫煙習慣である事が明らかとなった. 2. インプラントとブリッジでは欠損部の隣在歯におけるトラブルの発生に差はなかった. これらの結果をふまえてインプラント周囲に起こる炎症の特異的なマーカーを調査するための研究計画を倫理委員会に申請し承認を得た(承認番号797).現在,インプラント周囲炎をもった患者をサンプリングしている途中であり,今後も継続してサンプリングを行っていく予定である.
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