2011 Fiscal Year Annual Research Report
栄養学的見地による補綴治療効果の次世代型評価法の確立
Project/Area Number |
21592458
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松山 美和 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30253462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古谷野 潔 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (50195872)
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Keywords | 歯科補綴学一般 / 老年歯科学 / 口腔衛生学 / 栄養学 |
Research Abstract |
わが国の歯学研究において治療効果の判定に栄養学的評価を用いるのは独創的で,初めての試みである.医学研究ではたんぱく質摂取に注目しているが,22年度に参加した学会(IADR, Barcelona)の意見を参考に本研究では食物繊維に着目した.研究対象は顎顔面補綴治療終了後の定期的メンテナンス患者20名,および部分床義歯治療患者40名(栄養指導介入群20名,非介入群20名)とした. 栄養評価法には信頼性の高い3日間food diaryを用い,デジタルカメラ撮影による食事の画像を加えた.専門的栄養指導前にfood diaryを記録し,管理栄養士が評価・解析し,その結果に基づき専門的栄養指導を2回行った.指導4週後および8週後に再度,栄養評価を行った.解析パラメータは総エネルギー,たんぱく質,脂質,炭水化物,食物繊維,塩分,ビタミンCの1日平均摂取量と充足率で,たんぱく質,脂質,炭水化物は総エネルギーに占める割合も算出した. 顎義歯装着患者では専門的栄養指導前後のデータを比較し,部分床義歯患者では補綴治療前後の比較および指導介入群と非介入群2群間比較を行う(九州大学倫理委員会,承認番号22032). 本研究への参加同意が得られる患者が少なく,24年3月末日までに顎義歯装着患者8名の計測と,部分床義歯患者7名の補綴治療前の計測が終了している,ここまでの結果から,メンテナンス中の安定状態にある顎義歯装着患者は推定エネルギー必要量と各栄養素の推定平均必要量に対する充足率が比較高く,さらに専門的栄養指導後は摂取栄養の質的改善傾向にあることが推察された. 次年度は被験者数を増やして統計解析を行い,補綴治療効果を栄養学的パラメータで評価できるシステムを確立する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究企画当初に協力を依頼していた管理栄養士2名が,業務の都合上協力できず,交代2名の協力を待って計測(栄養調査)を開始した.このため,計測開始時期が約3か月遅れた. また,被験者の栄養調査として3日間food diaryと食事写真を提出させるが,これに躊躇する人が多く,本研究への参加同意が得にくかった.24年3月末日までに集まった被験者は顎義歯装着患者8名と部分床義歯患者7名であり,当初の計画の20名と40名を下回っている.
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り,栄養調査方法に対して躊躇する人が多く,本研究の参加同意が得にくく,被験者数は予定よりも少ないことが,現在の問題点である.そのため,当初予定していた顎義歯装着患者20名を12名に,部分床義歯患者40名を24名に変更することにした.この数であれば,統計解析上は影響が少ないと考えられる. 被験者数を減らし,次年度初めまでに全計測を終了する予定である.その後に統計解析を行い,補綴治療効果を栄養学的パラメータで評価できるシステムを確立する予定である.
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