2009 Fiscal Year Annual Research Report
高齢化社会における簡便迅速な唾液中炭酸脱水酵素を指標とした味覚障害評価法の実用化
Project/Area Number |
21592465
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
島崎 伸子 Iwate Medical University, 歯学部, 常任研究員 (30337258)
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Keywords | 味覚 / 高齢者 / 唾液 / ELISA法 / イムノクロマト法 |
Research Abstract |
近年ますます増加傾向にある味覚障害の原因は多様であるが、約70%に亜鉛内服療法が有効であるといわれている。研究代表者は、耳下腺唾液中37kDa亜鉛結合タンパク質(Gustin)である炭酸脱水酵素VI型(CAVI)が味覚機能に関与するとの報告に基づき、ELISA法にてCAVIに対する抗体によりCAVI(Gustin)濃度を検出する方法を確立した。本年度は、味覚障害患者から採取した耳下腺唾液サンプルよりCAVI(Gustin)濃度を測定し、血清亜鉛値、血清銅値、濾紙ディスク検査等の検査結果と比較検討した。対象は、味覚障害を主訴として冨田耳鼻咽喉科を訪れた患者81名とした(男性25名、女性56名、平均年齢54.4±15.5歳)。耳下腺唾液採取には、久保木式採唾器YK-Iを用いて、耳下腺開口部より酸味刺激下にて吸引採取した。また、味覚閾値測定を四基本味の濾紙ディスク法にて施行し、あわせて血清亜鉛値、血清銅値等を測定した。被験者を、血清亜鉛値が79ug/dl以下の亜鉛欠乏群(25名)と80ug/dl以上の亜鉛正常群(56名)に分類した。採取した耳下腺唾液は、確立したABC methodを用いたELISA法にて発色させ、マイクロプレートリーダを使用し、405nmにて吸光度を測定した。 その結果、亜鉛欠乏群における耳下腺唾液中のCAVI(Gustin)濃度は、亜鉛正常群の約2.5分の1と有意(p<0.01)に低い値を示した。また味覚閾値とCAVI(Gustin)濃度との間には相関がみられなかった。ELISA法を用いた耳下腺唾液中亜鉛結合タンパク質の測定は,血清亜鉛値の測定と同様、亜鉛欠乏性味覚障害の診断の根拠になりうることが示唆された。次年度は、亜鉛内服療法による変動を検討するともに、イムノクロマト法の開発もより進めて行く予定である。
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