Research Abstract |
ポータブル記録装置を用い,自宅で就寝時の筋活動を記録し,bruxismを推計する試みが行われている.しかしながら,ポータブル記録装置は,簡便に夜間睡眠中時の筋活動を記録できるが,体動,嚥下,電気的アーチファクトなどのアーチファクトとbruxismによる筋活動との識別ができないという大きな問題を残している.そこで,本研究は,簡便なポータブル記録装置により得られた生体現象のデータから,bruxismのみを抽出するアルゴリズムを開発することを目的とし,まず型軽量の記録装置を用いた睡眠中の生体現象分析システムを開発することとした. 全身に臨床的な異常と咀嚼系に障害の既往が認められず,事前に実験の主旨についての説明を受け,同意した20歳代の健常者3名を被験者として選択後,被験者の生体現象は,エスアンドエムイー社製小型軽量の生体現象記録装置DL200を用いて,被験者の夜間睡眠中の両側咬筋筋電図,オトガイ筋筋電図,脳電図,心電図,呼吸運動図,眼球運動図を記録した.次いで,記録装置から再生した生体現象を表示でき,咬筋筋活動の定量的分析を行えるプログラムの作成を試みた.その結果,睡眠中の生体現象のデータをオンラインリアルタイムでコンピューターのディスプレイに表示して被験者の状態をモニタリングし,正確な記録が行われているか否かが確認できた.また,記録した生体現象のデータは,全チャンネル表示や必要チャンネルを表示することができた.さらに,記録した夜間睡眠中の咬筋筋活動は,振幅,積分値,持続時間をそれぞれ算出し,コンピューターのディスプレイに表示することができた.これらの結果から,小型軽量の記録装置で測定した生体現象をモニタリングし,正確な記録が行われているか否かを確認すると同時に,必要な部分の生体現象データを分析できる生体現象分析システムが開発できた.
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