Research Abstract |
本年度は,昨年度から本研究に参加している被験者のへの検査,術後管理を継続して実施した. 被験者はカリエスリスクの高い高齢者20名を選択した.しかし,途中でリタイアした者もがいたため13名が研究に参加した.彼らは平成18年度からPMTCを1ヵ月に1回,4年間行っている処置群と,4年間術後管理のない観察群である. 両群にメディカルインタビュー(ブラッシングの回数,常用薬剤の服用の有無,喫煙の有無,食事回数,PMTCの有無),口腔内検査(唾液の粘調度,プラークの量(PII),床義歯の有無),唾液検査(刺激唾液の量,刺激唾液の緩衝能,mutans streptococciの数,lactobacilliの数)を行い,12因子の口腔内環境因子を調べた. (1)処置群の8名は,1ヵ月に1回,1年間来院してもらい,PMTCと唾液検査を行った. (2)観察群の5名は,平成18年に補綴修復処置と唾液検査を行い終診したカリエスリスクの高い者である.本研究に同意を得たのち来院してもらい,メディカルインタビュー,口腔内検査,唾液検査を行った. (3)唾液検査は,Orion社製Dentocult^[〇!R]シリーズを用いる.刺激唾液量,刺激唾液の緩衝能とう蝕原性細菌(mutans streptococciとlactobacilli)の数を,モデルチャートを用いて測定した. 得られた結果をCHAID分析にて「う蝕の発生の有無」に最も強く関わる口腔内環境因子は何か12因子から解析した. 樹形図から,う蝕の発生の有無に関わる因子(PMTCの有無)を見いだした.さらにう蝕の発生に関わる因子は刺激唾液の量(0.5ml/min以下)であった. 以上のことから「う蝕の発生」に最も強く関わる口腔内環境因子は,PMTCを行わず,刺激唾液量の少ない症例であることがわかった.
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