2010 Fiscal Year Annual Research Report
培養骨膜シートの骨形成活性を最大限に引き出す基材とプロセッシング技術の開発
Project/Area Number |
21592492
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
川瀬 知之 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90191999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 一博 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00169228)
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Keywords | 培養骨膜シート / 骨再生 / 細胞基材 / 細胞プロセッシング |
Research Abstract |
ヒト歯槽骨由来の骨膜小片を培養して、そこから遊走してくる細胞が形成する細胞が重層化したシート状のものを培養骨膜シートと称している。本研究では、この骨膜シートの骨形成活性を最大に引き出すことができるプロセッシング法として、多孔質基材(セラミックス製、人工高分子製)による3次元培養および無血清(低血清)の幹細胞培地による培養を試みた。 1.多孔質PLLA膜:直径30-50μmの気孔からなる自作の多孔質PLLA膜は、骨膜片の初期接着向上だけでなく、細胞の多層化にも貢献することがわかった。さらに、骨芽細胞への分化誘導によって、proteoglycanのほかintegrinなどの接着因子の発現を顕著に増加させ、結果的に細胞の深部気孔への浸透にも大いに貢献することを認めた。ヌードマウスへの移植実験においては、クラックが入ったところにcollagen沈着が誘導され、結果的に特異的な「クラスター化」という分解を受けることがわかった。類骨形成も良好であった。 2.多孔質セラミックスの分析:多孔質セラミックスは骨膜シート培養の有望な基材であるが、その多孔質性状と細胞培養成績の間の相関性を検討するまでには至っていない。そこで、予備実験から得られた測定条件をもとに、μCTを用いた3次元分析から多孔質性状の数値化を試みた。気孔数についてはともかく、気孔率と連通孔の容積定量化においては使用機種によらない再現性のあるデータが得られた。 3.幹細胞用培地:骨膜片にも幹細胞様細胞が含まれていることは表面抗原の分析から把握していた。そこで、幹細胞様培地でこれらの細胞の自己複製を促進させることによって、培養骨膜シート重層化の促進を目論んだ。骨膜片からの細胞遊走を有意に促進することはなかったものの、遊走した細胞の増殖を顕著に促進し、特殊な基材の助けを得ずに厚さ200-300μmの骨膜シートを作成することに成功した。現在、この方法で作成された骨膜シートの骨形成活性についてin vitroおよびin vivoの実験をおこなっている。
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Research Products
(16 results)