2009 Fiscal Year Annual Research Report
剛直さと粘り強さを併せ持つ歯科用超高密度架橋構造マトリックスレジンの開発
Project/Area Number |
21592496
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田仲 持郎 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40171764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 正郎 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90105594)
橋本 典也 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (20228430)
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Keywords | マトリックスレジン / 架橋構造 / コンポジットレジン / コンポマー / 電荷移動錯体 / 水素結合 / 内分泌撹乱作用 / 細胞毒性 |
Research Abstract |
内分泌撹乱作用を考慮して創製した塩基性基を有する脂肪族モノマーであるウレタンジメタクリレート(UDMA)と酸性基を有する脂肪族モノマーであるメタクリル酸(MAA)で構成される共重合系(特開2002-87921)の重合体はUDMA/MAA=1/2(モル比)で最も優れた機械的性質を発現する.その理由を探ることを目的として近赤外領域に現れる末端メチレン基(=CH)と中赤外領域に現れる炭素-炭素二重結合(C=C)の吸収ピークに着目した連続変化法により,UDMA/MAA=1/2(モル比)で吸収ピークの最も大きなシフトが起こることを明らかにした.この測定結果はUDMAとMAAを混合した時に,1分子のUDMAに対して2分子のMAAで構成される電荷移動錯体が形成され,その電荷移動錯体が1つのモノマーとして重合反応することを示唆している.その結果,重合体は重合反応によって形成される剛直な共有結合と重合前に形成されていた柔軟な水素結合とによって構成される網目構造を持つこととなり,剛直さと粘り強さを併せ持ったと推察された.また,UDMA/MAA=1/2(モル比)の共重合系の粘度は代表的な歯科用マトリックスレジンであるBis-GMA/TEGDMA=1/1(モル比)と同等であり,コンポジットレジンやコンポマーなどの歯科用複合材料用マトリックスレジンとして応用出来ることが示唆された.更に,重合体の細胞毒性を検討した結果,UDMA/MAA系共重合体はPMMAレジンと同等であり,生物学的な観点からも有用であることが示唆された. また,異なる網目状構造の創製法にも取り組み,架橋性脂肪族ビニルモノマーとPMMAレジンから構成される混和物を重合させてセミ相互侵入網目構造を有するポリマーアロイとすることによっても,剛直さと粘り強さを併せ持った歯科用レジンを創製出来ることを明らかにした。(特願2010-10216)
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Research Products
(4 results)