2010 Fiscal Year Annual Research Report
顎骨嚢胞内溶液の破骨細胞活性化作用に関する分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
21592523
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
飯田 征二 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40283791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相川 友直 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (00362674)
山近 英樹 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10294422)
高尾 香名 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (00448151)
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Keywords | 顎骨嚢胞 / TGF-beta / IL-lalpha / RANKL / 破骨細胞 |
Research Abstract |
顎骨嚢胞および顎骨腫瘍が破骨細胞を活性化する因子を産生し,破骨細胞形成,骨吸収の過程を介して顎骨内で増大・進展する機序を仮定し,研究を行った.臨床検体の研究使用の同意の得られた患者の各種顎骨嚢胞(角化嚢胞性歯原性腫瘍,濾胞性歯嚢胞),顎骨腫瘍(エナメル上皮腫)の嚢胞内容液を吸引採取し,その上清をろ過滅菌して保存して試料とした.また,手術による摘出組織からは上皮細胞および間質線維芽細胞を分離した.さらに摘出組織はパラフィン包埋し,免疫染色に用いた.嚢胞裏装上皮下の繊維性結合組織と顎骨との境界にはTRAP染色陽性の破骨細胞形成を認めた.また,骨境界領域周囲の嚢胞結合組織線維芽細胞にはRANKL陽性を示した.これらより,顎骨嚢胞-顎骨境界領域で破骨細胞形成がなされていることが示唆された.本年度はTGF-bとIL-1aに焦点をしぼり研究を行った。TGF-b,IL-1aは嚢胞内容液に高濃度に含有され、特に角化嚢胞性歯原性腫癌では高濃度であった。免疫染色でTGF-b,IL-1aはともに歯原性上皮細胞に陽性であった。ついで,嚢胞内容液が破骨細胞形成を促進する機序を検討した。角化嚢胞性歯原性腫瘍の間質線維芽細胞を分離・培養し,上記の嚢胞内容液、TGF-b,IL-1aを添加し破骨細胞形成の正の制御因子であるRANKL発現と負の制御因子であるOPG発現をRT-PCR法で検討した.その結果,歯原性角化嚢胞内容液は間質線維芽細胞のRANKL発現を上昇させ,OPG発現を変化させなかった,嚢胞内容液により誘導されるRANKL発現は、TGF-b中和抗体またはTGF-b受容体阻害剤、およびIL-1受容体拮抗剤により部分的に抑制され、その両者の処理で完全に抑制されたことから、嚢胞上皮細胞が産生するTGF-b,IL-1aが嚢胞間質線維芽細胞のRANKL発現を誘導することが示された。また、TGF-bはCOX-2発現、PGE2合成をわずかしか上昇させなかったが、IL-1aはCOX-2発現とPGE2合成を促進し,TGF-b存在下でさらに相乗的に促進した。顎骨腫瘍・嚢胞上皮細胞はTGF-bとIL-1aを産生し、周囲の間質繊維芽細胞でのRANKL発現を誘導して破骨細胞形成、骨吸収を促進する機序が示唆された。
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Research Products
(1 results)