2011 Fiscal Year Annual Research Report
顎骨嚢胞内溶液の破骨細胞活性化作用に関する分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
21592523
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
飯田 征二 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40283791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相川 友直 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (00362674)
山近 英樹 岡山大学, 岡山大学病院, 講師 (10294422)
高尾 香名 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (00448151)
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Keywords | 顎骨嚢胞 / 顎骨腫瘍 / TGF-beta / IL-lalpha / 破骨細胞 / RANKL |
Research Abstract |
研究者らは顎骨腫瘍・嚢胞が産生するサイトカインが1)周囲の間質線維芽細胞、骨芽細胞、または間質細胞に作用し、破骨細胞活性化因子RANKL発現を誘導し破骨細胞形成を促進する間接的経路、2)破骨細胞前駆細胞の破骨細胞分化を促進する直接作用、により破骨細胞を誘導し骨破壊と病変の増大をきたすと考えて研究を進めてきた。このサイトカインのうち、現在までの研究結果からTGF-bとIL-1aが1)の間接的作用の主役を担っていると考えられるにいたった。実際に、顎骨嚢胞や腫瘍の上皮細胞でTGF-bとIL-1aは産生され、間質線維芽細胞や間質の炎症性浸潤リンパ球でRANKLが陽性であった。そこで本年度はTGF-b,IL-1aのよる間質線維芽細胞でのRANKL発現誘導のメカニズムを検討した。その結果、IL-1aは間質線維芽細胞のCOX-2合成を促進し、その後のPGE2合成を促進した。間質線維芽細胞のIL-1aによるRANKL発現促進は選択的COX-2阻害薬で抑制された。一方、TGF-bはCOX-2合成もPGE2合成も促進せずにRANKL発現を誘導した。そして、TGF-bとIL-1aは相乗的にCOX-2発現とRNAKL発現を促進させた。次いで、それぞれのサイトカインの破骨細胞分化の直接作用を検討した。その結果、TGF-bは破骨細胞前駆細胞の破骨細胞分化を促進し、ILilaとTGFibの相互作用は相加的であった。さらに顎骨嚢胞内容液間質が存在する炎症性リンパ球でのRANKL発現を検討した。嚢胞内容液はヒト末梢血リンパ球でのRANKL発現を促進した、しかしTGF-b,IL-1aはRANKL発現を抑制した。以上より、顎骨腫瘍・嚢胞の骨吸収、骨破壊の機序として、1)上皮細胞が産生するTGF-b,IL-1aが周囲の間質線維芽細胞でのRANKL発現を相乗的促進して破骨細胞形成を促進する機序、2)TGF-bは破骨細胞前駆細胞の破骨細胞分化を促進する機序、3)TGF-b,IL-1a以外のサイトカインが間質に浸潤したリンパ球のRANKL発現を促進して組織内のRANKL濃度を高める機序、の3つの機序が示唆された。
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