2011 Fiscal Year Annual Research Report
BMP-2と骨髄未分化幹細胞移植法を用いた広範囲顎顔面骨欠損修復への試み
Project/Area Number |
21592524
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
植野 高章 大阪医科大学, 医学部, 教授 (60252996)
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Keywords | 骨髄細胞 / 成長因子 / BMP / 血管形成 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / 骨吸収 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
顎顔面骨の広範囲骨欠損の組織再生医療においては、骨髄などから分離培養された骨形成細胞や骨膜移植などから骨が誘導されることはすでに多くの研究者が明らかにしてきた。しかしながら、誘導された新生骨の顎顔面骨への形態的適合性や形成後の過剰な骨吸収の抑制には欠損部への緻密な血管誘導が不可欠であることをいままでの課題研究で明らかにしてきた。骨髄は骨形成細胞のみならず豊富な血管内皮細胞形成細胞を含み血管再生医療には心臓血管外科領域ですでに実用化が試みられている。しかしながら顎顔面骨再生領域においては骨形成過程における血管新生に関する研究は少ない。この研究課題では成長因子BMP-2を使用した骨形成過程において血管内皮細胞を含む骨髄を移植することで形成される骨量がどのように変化するのかを検証するために骨髄を移植しない群との比較を免疫組織学的研究とマイクロCTを用いた新生骨の骨梁解析法による骨梁比較を行い、血管誘導の新生骨形成における有効性を検証した。ラットの頭蓋骨に形成された直径10mmの脳硬膜まで貫通する骨欠損を作成した。ラットをBMP群(B群)、骨髄移植群(M群)、BMP+骨髄移植群(BM群)、非移植群(コントロール群)の4群に分類し移植後7日目、21日目、35日目、60日目に組織を摘出し観察した。B群では移植後7、21日目に骨芽細胞マーカー陽性の骨形成細胞が欠損部中心と周辺部に観察された。21日目には血管内皮細胞発現マーカーCD34陽性細胞が形成骨周囲と骨髄に観察された。35日目には欠損中心部と周辺部に新生骨が観察され始めた。M群では移植後7日目には活発な細胞増殖が観察され骨欠損断端では破骨細胞が観察された。60日目の骨形成量はBM群が最も多く、次いでB群、M群であった。この結果から血管内皮細胞の形成が骨形成の維持に有効な可能性が示唆された。
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