2010 Fiscal Year Annual Research Report
上皮―間葉移行着眼した顎関節内障円板維化の細胞生物学的病態解析
Project/Area Number |
21592536
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
藤田 茂之 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50228996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東條 格 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (70405439)
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Keywords | 関節円板 / ルミカン / HAS3 / ファイブロモジュリン / デコリン / ビグリカン |
Research Abstract |
関節円板の癒着は顎関節症においてしばしば観察される所見である。我々は、関節円板の線維化の機序に着目して研究を進めている。ルミカンは、小型のプロテオグリカンの一つであり、コラーゲン線維の形成速度や、線維間の距離、線維の太さなどを調整する役割がある。また、CD34は、内皮細胞に存在するグリコプロテインであり、血管新生と関係している内皮細胞により産生される。VEGFは、血小板由来の成長因子であり、血管新生はVEGFの発現と関係している。免疫組織化学染色の結果、手術により摘出した、顎関節症のヒト関節円板にはルミカン、CD34、VEGFが発現し、ルミカンが発現している部位には線維芽細胞様細胞が存在していた。CD34とVEGFは、変形した関節円板組織内に存在する新しく形成された毛細血管に認められた。これらのことから、変形した関節円板内では血管新生がおこり、ルミカンによる新しいコラーゲン線維のネットワーク形成が認められることが証明された。さらに、顎関節症の関節円板においてヒアルロン酸合成酵素HAS3の発現についても免疫組織化学染色にて確認した。顎関節症の変形した関節円板内にはHAS3が発現していた。ヒトの関節円板細胞を低酸素状態かつIL-1βにて刺激すると、通常の酸素濃度かつIL-1βで刺激しない状態に比べてHAS3のmRNAの発現上昇がみられた。これらのことから、HAS3は顎関節症の病理変化に関係している因子であることが示された。今後は小型のプロテオグリカンであるファイブロモジュリン、デコリン、ビグリカンと関節円板の癒着の関係について研究をすすめていく予定である。
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Research Products
(4 results)