2010 Fiscal Year Annual Research Report
転写制御因子CSDAのリンパ管新生阻害作用による口腔癌リンパ節転移抑制法の確立
Project/Area Number |
21592541
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
松本 剛一 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (60199867)
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Keywords | CSDA / AP-1 / VEGF-A / VEGF-C |
Research Abstract |
CSDAタンパク質はナイーブなNR-SIM細胞(リンパ節転移能を有するマウス扁平上皮癌細胞)細胞内ではユビキチン化を受け分解されているためタンパクの発現はみられない。CSDA遺伝子をNR-SIM細胞に遺伝子導入しCSDAを過剰発現させることで、細胞内でのCSDAタンパクの発現を確認した後にin vitroにおける細胞増殖能を調べたが、特に遺伝子導入による細胞増殖への影響はみられなかった。次いでNR-SIM細胞をマウスの皮下に移植しin vivoでの腫瘍径の変化を調べた。するとCSDA過剰発現細胞は非遺伝子導入細胞に比べ腫瘍増殖の著しい阻害がみられた。またCSDA過剰発現細胞を移植した場合、所属リンパ節への癌の転移率の減少がみられた。腫瘍局所の腫瘍血管とリンパ管を同定する目的で、抗CD31抗体と抗LYVE-1抗体を用いた免疫組織化学的染色を行ったCSDA遺伝子非導入細胞を移植した腫瘍内には多数の血管およびリンパ管がみられたのに対し、CSDA過剰発現細胞を移植した腫瘍内の血管およびリンパ管数は著しく減少していた。現在までにCSDAはVEGF-Aプロモーター領域のHREに結合し、HIF-1との結合を阻害することが報告されている^<5)>。そこでNR-SIM細胞におけるVEGF-A産生能へのCSDAの影響を調べたところ、CSDAは正酸素および低酸素の両方の状態においてVEGF-A産生を著しく抑制した。細胞をphorbol 12-myristate 13-acetate (PMA)で刺激するとVGF-Aの産生は増加する。そこでCSDAのPMA刺激によるVEGF-Aの産生への影響を検討したところ、CSDAはVEGF-Aの産生増加を抑制した。PMA刺激によるVEGF-A産生の増加はVEGF-Aプロモーター領域の転写因子AP-1の活性化を介していることから、CSDAがAP-1塩基配列と結合能を有する可能性があることが推察された。そこでゲルシフト法にてCSDAのAP-1塩基配列への結合能を解析したところ、CSDAがAP-1塩基配列へ結合することが確認された。
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Research Products
(1 results)