2010 Fiscal Year Annual Research Report
NK細胞活性化受容体リガンドを標的とした口腔癌に対するオーダーメイド治療の開発
Project/Area Number |
21592553
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
谷 亮治 広島大学, 病院, 助教 (10291486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 哲治 広島大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00169153)
虎谷 茂昭 広島大学, 病院, 講師 (90172220)
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Keywords | MICA / sMICA / NK細胞 / 口腔癌 |
Research Abstract |
ナチュラルキラー(NK)細胞は、自然免疫において発癌抑止に重要な役割を果たすことが知られている。近年、NK細胞を活性化するレセプターとしてNKG2D分子が明らかになり、NKG2Dは、そのリガンドであるMICA(MHC class I chain-related molecule A)を認識すると細胞傷害活性を誘導することが報告された。一方、癌細胞が細胞表面にMICAを発現しているにも関わらず、NK細胞などMICA-NKG2Dを介した免疫監視機構から逃れ、排除されないのは何らかの免疫回避システムが存在していることが考えられており、その1つとしてsMICA(soluble MICA)が報告されている。前年度では、当科で樹立したOSCC細胞株でWestern Blot法およびNorthern Blot法を用いて細胞抽出液中のMICA蛋白およびMICA mRNAの発現を検討し、いずれのOSCC細胞株もMICA mRNAを同程度発現していたが、Western Blot法の結果からKO細胞ではMICA蛋白の発現は非常に低いことが明らかになった。一方、ELISA法を用いて培養上清中のsMICA濃度を検討した結果、sMICAの産生量はKO細胞において最も高いことを明らかにした。本年度は、無血清培養系でKO細胞を大量培養し、培養上清中から抗MICA抗体結合アフィニティーカラムを用いてKO細胞が産生するsMICAの精製を行った。精製sMICAを脱糖鎖処理し、Western Blot法で検討したところsMICAの分子量は24000であった。さらに、精製したsMICAをMALDI/TOF-MSにより質量解析を行い、MICA分子と一致するアミノ酸配列を検索した結果、sMICAは、MICA分子のα3ドメインの中央付近で切断されている可能性が考えられた。
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