2011 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌化学放射線療法の新規効果予測因子の同定とその発現に基づいた個別化医療の構築
Project/Area Number |
21592555
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
原田 耕志 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (60253217)
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Keywords | 口腔癌 / 5-FU耐性 / 放射線耐性 / 効果予測 |
Research Abstract |
口腔癌細胞株(HSC2)の耐性株HSC2/FUは、5-FU 8μg/ml以下の濃度では耐性を示し、形態的に紡錘形であった。またHSC2/FUはヌードマウスに移植したところ、HSC2を移植した場合と比較して造腫瘍性が増強した。さらにHSC2/FUにおいて、各クローン間で5-FU耐性に差異が生じていることを見出し、最も5-FU耐性を示すクローンHSC2/FU-cを分離樹立した。このクローンとHSC2間において特異的な変動を示す遺伝子群をマイクロアレイ解析にて検索し、GDF15等を同定した。GDF15等の発現抑制につながる薬剤を検討したところ、ヌクレオシド系抗癌剤TAS102の有効成分であるトリフルオロチミジンを見出し、これはHSC2/FU-cに対して細胞増殖抑制効果を発現し、さらにヌードマウス5-FU耐性腫瘍に対しても抗腫瘍効果を発現した。またTS-1とDocetaxcel併用化学療法を施行した口腔扁平上皮癌患者40例におけるGDF15の発現と治療効果との関連性を検索したところ、奏効例36例中26例で高発現を示し、非奏効例4例中全例で低発現を示し、有意差が認められた。また放射線耐性株HSC2/RTは、9.5Gyの放射線量に耐性を示しており、HSC2/RTとHSC2間において特異的な変動を示す遺伝子群をマイクロアレイ解析にて検索し、ALDH1等を同定し、その他重要と考えられる候補遺伝子も同定した。ALDH1等の発現抑制につながる薬剤を検討したところ、現時点では顕著な抑制につながる薬剤は見出せなかった。また放射線化学療法を施行した口腔扁平上皮癌患者30例におけるALDH1の発現は、奏効群と比較して非奏効群において有意に高かった。5-FU系抗癌剤をベースとした化学療法後の再発症例に対してトリフルオロチミジンをベースとした治療法は一つの選択肢になると考えられた。
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